マスク騒ぎのこわさ

マスク争い

 今回のコロナ猛威による大きな騒ぎの中に、マスク騒ぎという入れ子のような小さな騒ぎがあった。マスコミも取り上げた。
 
 わしは不思議だった。
 先端技術も希少資源も要らないこんな小さな布製品が、ふだん世界に冠たる “ものづくり国” を標榜している日本で、なんでこんなに不足して醜い奪い合いが起きるのかと。

 すぐ分かった。
 先端技術も希少資源も必要ないモノだからこそ、日本は製造しないのだと。
 高い技術が必要でないこういういわば小モノ商品は、製造コストの安い周辺国から輸入して済ませているのだと。マスクはその一つだった。
 
 それで頭のなかに浮かんでくるものがある。

 日本の食糧である。
 
 農林水産省の発表によれば、2018年度の日本の食糧自給率はわずか37%と、過去最低を記録したという。(カロリーベースによる試算)
 つまり日本人は食べものの大半を、外国からの輸入に依存して生きているのだ。
 
 これでもし、今度のコロナみたいに世界規模の突発的な何かが起きて、各国が食糧の自衛に走ったら、日本はどうなるのだろう。
 
 ことは日本人全員の ”命の糧” に関わる問題だ。
 重要度からいえば今回のマスク争いなど比較にならない。
 同じ日本人どうしの間でくり広げられる食いものの奪い合いは、醜いなどという言葉を通り越して地獄図絵となるだろう。
 
 豪華大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」は、4000人近い乗員・乗客を乗せたまま、とつじょ発生した新型コロナウイルスのため横浜港沖に停泊を余儀なくされた。そしてまたたくまに600人を超える感染者を出して、集団感染の恐ろしさを示した。
 
 弓形の列島船「コンナモンダ・ニッポン号」の舵をにぎっている人たちは、1億2千600万人を越える(2018年/総務省統計局)乗客の食糧について、どのように考えているのだろう。
 
 船内に確保してある量は、必要量のわずか37%に過ぎない。あとの63%は、外国の港々での補給に頼るというわけだが、今回のコロナみたいに、新型世界事情の突発で各国が港を閉鎖してしまったら、どうするのだろう。
 そういう事態がゼッタイに発生しないとは、誰にも保証できない。
 
 この「日本の食糧自給率」の問題は、前から気になっていたのだが、今回のマスク騒ぎでよりリアルにこわさを覚えたので、書いてみた。
 
 ちなみに、日本以外の先進国の食糧自給率は、カナダは264%、オーストラリア224%、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ98%だそうだ。(2013年度 農水省試算)
 

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