チリ・アクタのように小さいが・・・

宇宙

 きょうは四月下旬の陽気で、上着はいらない。
 ・・・と、テレビが言っていた翌日には、氷点下に近い寒い日になって、ダウンコートを着て震え上がる。
 ・・・といった感じで、昨今、狂った蚊トンボのように気温が上ったり下がったりしている。
 ところが一方宇宙の動きは、正確無比でチリほどの狂いも乱れもない。。

 で、近ごろ夜明けが早くなった。
 わしの寝室には東向きの窓があって、朝はその窓からやって来る。
 このあいだまでは6時はまだ真っ暗だったが、最近は6時前になると、窓が薄っすらと明るんでいる。

 わしにとってこの寝室の窓は、目覚まし時計のようなものだ。窓が明るんでくるとわしの眼はゆるんできて、目が開く。つまり目覚める。

 とはいっても目覚めてもすぐには起きない。しばらくベッドのなかに横になったままだ。寒いから・・・ネ。
 そうして瞼を開けたり閉じたりしながら、だらしのないナメクジのようにグズグズしているときに気がついた。
 春が近づくと夜明けの時刻が早くなるだけでなく、夜が明けるスピードも速くなると・・・。

 12月や1月は夜が明けるスピードが遅かった。
 足を痛めたカタツムリみたいに、いつまでものろのろしていて変化しなかった。
 ところが最近は窓の明るくなるスピードがやたら速い。
 目を開けて続けて見つめているぶんには判らないが、数秒間目をつむって瞼を明けると、その数秒の間に窓ははっきりと明るくなっている。その変化は明確である。
 
 つまり季節の移り変わりによって、気象はいろいろに変動して一定しないが、宇宙というか天体の動きは、常に一定で正確無比である。それが寝室の窓から判る。
 
 宇宙のことを考えるといつも気が遠くなる。
 誕生にしても、年齢にしても、大きさにしても、最近はハッブル宇宙望遠鏡など観測機器の発達でいろいろ分ってきているらしいが、まさに気が遠くなるほどに巨大だ。よく理解しているわけじゃないけど・・・。
 
 そんな宇宙に比べて、そこに住むわれわれ人間は何と小さいことか。
 ましてやその人間の悩むことなんて、チリ・アクタ以上に小っちゃい。
 
 ・・・なんてことを思って、夜半に目が覚めて眠れなくなった状態から逃れようと、必死になっている今日この頃である。
 
 ほんとに小っちゃいなァ~!
 

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