冷蔵庫の中にゴロンと寝ている大根

夜中にトイレに起きたとき、ふと、何かイヤなことが頭に浮かんで眠れなくなる。
・・・ということは、これまで当ブログで何度か触れた。
その “イヤなこと” の一つが、じつは「大根」である。
最近わがカミさんは、料理はもう何も作れない。
食べない訳にいかないので、わしが何か考えなくてはならない。
ところが認知症になるまでほぼ50年余、料理はすべてカミさんがしていたので、わしは何をどうしていいのかほとんど何も分からない。
本やネットのレシピを見てタドタドしく作るのだが、ドロナワで作る料理など旨いわけがない。カミさんはいつも3分の1くらいしか食べないし、わし自身も目をつむってムリヤリ口の中に押し込んでいる始末だ。
で、金はかかるが仕方がない、調理済みのものを業者が届けてくれる宅配食を、一日おきに取っている。
ところがこれがまた意外に美味しくない。カミさんは半分以上残すし、わしもあまり口に入れたくない。
人間はちゃんとした食事を摂らないと、栄養不良になって免疫力が弱る。結果、しないでもよい余計な病気をすると言われている。
わしらの困った問題のひとつである。
そこでわしは奮起して、何とか旨い料理を作ろうと努力を始めた。
今は上手に作れなくても、諦めないで続けていれば、だんだん旨いものが作れるようになると信じて・・・。
最近は異常気象のせいで野菜が異常に高い。比較的安いのが大根。
ある日、スーパーの特売で安い大根を売っていたので、大量に買いこんだ。そしてネットのレシピを見て大根煮を作ったら、これまた異常に不味いものができた。
爾来、大根に手を出せないでいる。で、まだ大量に残っている生の大根が、冷蔵庫の野菜室にゴロンゴロンと寝転んだままだ。
葉もの野菜はすぐヘナヘナになって腐るが、大根はなかなか腐らないので捨てることもできない。いつまでも同じとこで寝そべっている。
結果、冷蔵庫を開けるたびに、この不貞腐れて寝っころがっている大根が目に入る。
彼らはわしの無能、甲斐性なしをあざ笑い、かつ責めているようである。見るたびにわしは何となく気が重くなる。
現実に目にする時だけではない、先に述べたように真夜中の眠れないときにも、前後の脈絡なくふいにこの冷蔵庫のゴロン大根が頭のなかに浮かび出る。すると重い石を腹のうえに載せられたようで、よけい眠れなくなる。
そういうオノレのアホな姿を、じっくり味わわされるのもこれまた老人のひとつの味だ。あまり旨くない。
当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。
毎日の介護と家事作業、ご苦労様です。
私も貴兄同様、家事作業は全て家内に任せていましたので、10余年前パーキンソン病発症後、悪戦苦闘を続けています。根が横着者ですので、四角い部屋を丸く掃き、洗濯物は皺だらけでしたが、家内の厳しい指導を受け、今では何とか様になるようになりました。(家内は体は不自由ですが、口は以前にも増して達者です。)
厳しい指導?のお陰で料理も何とか作れる様になりました。昨夜は鯵の南蛮焼きを作りました。鯵のセイゴを取り(切れ味の悪い包丁で、悪戦苦闘です。)頭と腸を取り、カタクリ粉をまぶし油で揚げ、甘酢に浸けて胡瓜と玉ねぎも入れと、何とか美味しく戴けました。
私はスーパーでお惣菜を買って済ましたいのですが、家内はそれを許してはくれません。私が料理で手を抜くと不自由な体にも拘わらず、台所に立ち自分で料理を始めるので危なっかしくて、私がやらねばならなくなるのです。
パーキンソン病にはパーキンソン病の大変さと辛さがあるでしょうが、
小生が羨ましいのは、奥さんの口が(→頭が)達者でいろいろ言ってもらえることです。
認知症は頭が崩れるので、何も助言をもらえず、すべてほぼ何もない自分の頭で
考え出して、しなければなりません。無から有を作り出すのは難しいです。
その結果、どんな酷いことをやっても、彼女は黙って受け入れる(←何も判らないので)のが、却ってつらいです。(半ボケじじィ)