深夜の物音

深夜

 何回か前の当ブログに、夜眠れなくなったときの対策を考え出したと書いたが、それは完全ではなかった。つまり眠れない時が以降もチョクチョクある。

 深夜に目が冴えると、耳も冴える。
 遠くのほうでする小さな物音がよく聞こえる。
 「深夜の静寂(しじま)」という慣用表現があるくらいで、「深夜は静まりかえって物音一つしない」というイメージがあるが、実際は深夜でもけっこういろいろな音がする。
 
 たとえば、どこかでミシミシと建物が軋んでいるような音。それが何かに悶えているように聞こえるときもある。
 カサカサもしくはガサガサという何か虫が這っているらしい音。(昔の田舎の家では、屋根裏でネズミが大っぴらに走っ廻っている音がしたものだが、今はさすがにそれはない)
 今の季節では、耳のそばではなく部屋のどこか遠いところで、蚊が飛んでいるかすかな音もする。
 壁一つへだてた隣家のトイレの、水を流す音も聞こえる。
 ときおり理解不能な怪しげな音もする。以前このブログで採り上げたことがあるが、天井裏でビー玉を転がすようなハッキリとした音がした。( → 2020年2月28日 『ときおり不思議な音がする家』
 
 今回取り上げるのは、最近寝られないときに気がついた極めて現実的な音である。
 およそ未明の午前3時から4時ごろにかけての時間。
 遠くの、さまざまな方角から聞こえてくるかすかなバイクの音だ。
 おそらくそれは新聞配達のバイク音であろう。それぞれのエンジン音が微妙に違うのは、各販売店で使っているバイクの種類が違うのにちがいない。
 
 その音を聞きながらわしがいつも思うのは、まだ深夜と言っていいこの時間に、起きて働いている人間がいるということである。
 自分のように、温かい布団にくるまってぬくぬくと横になりながら、眠れなくて煩悶している人間もいるときに・・・。
 人はさまざま、働き方もさまざまとはいえ、同じ人間のあいだにあるこの違いは何なのだろう。
 そんなことを考えていると連想が働く。
 昼と夜となく突然飛んでくるミサイルに家を破壊され、命を奪われるウクライナやガザの人々と自分の間にある違いは、いったい何が生み出すのだろう・・・という連想。
 あるいはアフリカのスーダンやカメルーンに生まれる人と、アジアの日本に生まれてくる人間の違いは何が理由なのだろう・・・と。

 そもそも人や猫や鼠や蚊などの生きものは、なぜこの世に生まれてくるのか・・・という疑問にまで及んで行く。
 
 そんなことしていると遠くだったバイク音のひとつが突然だんだん大きくなる。
 やがてわが家の玄関の新聞受けにボトンと朝刊の落ちる音がする。
 
 今の季節はそれから夜が明けるまで長い。
 わしらの人生も長い。
 やれやれやなァ~。
 

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