「寝たきり介護」より「ショッピングカート」

 日々の食糧の買い出しは、結婚以来カミさんがやってきた。
 それにわしが付き合うことは、ほとんどなかった。ま、ジャマだからネ。

 だが最近は毎回お供する。散歩に連れ出されるワンちゃんみたいに。
 
 なんどか書いているが、わしら夫婦は自転車も自家用車も自家用ジェット機も所有しない。で、買い物はみずからの2本の脚だけが頼りだ。
 その頼りの脚も生きもののからだの一部なので、年とともに衰える。
 
 で、ここ数年、カミさんの足腰が買い物の重さに文句を言うようになった。
 玉ねぎやジャガイモ、カボチャや大根といった重量級食材をたまたま同時に買いこんだとか、特売日でいろいろなものが安く買えたとかで荷が重くなったとき、出先から電話がかかってくる。
 で、わしは、大型のリュックを持って迎えにいく。べつに尻尾は振らないけどね。
 
 そういうことが、近ごろでは時々ではなく、ほぼ毎日になった。
 毎日重量級を買うわけではなく、軽量級でもカミさんの体が文句を言うようになったからだ。文句をいうハードルが低くなったわけね。
 
 たしかにハタから見ていても、大きな荷物を持っているカミさんは、ちょっと危なっかしげに見える。カボチャや大根のせいで転んで寝たきりに・・・なんてことになったらコトだ。カボチャや大根は責任をとってくれないからね。
 
 もちろんカミさんも、わしを見て同じことを思っているにちがいない。
 要するにどっちもどっち、1人じゃ用が足せない。ふたりでかろうじて1人前・・・というまっこと情けない状態になっているわけだ。
 
 で、毎回の買い出しにわしも同道するようになった。
 ま、早く言やあ、散歩に連れ出される犬というより、ショッピングカートね。
 
 それに去年引っ越しをしてからは、スーパーストアが家から遠くなった。以前に比べれると距離が2倍近い。坂も多い。本物のショッピングカートを引っぱるのは却ってツライ。
 
 ・・・というわけで、今はカミさんの日々の買い物に連れ出されて、人間ショッピングカート役を文句も言わずにやっている。
 なんたって寝たきりの介護よりましだからねぇ。
 

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当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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