見たぞ、見たぞ

犬の散歩

 きのう、路上でオモシロイものを見た。

 最近ではめずらしいのだが、道の上に犬のフンが残されていたのである。
 落とし主はおそらく大型犬なのだろう、大きくてリッパなモノだ。この世に落ちてからそれほど時間は経っていないらしく、湯気は立ち昇っていなかったものの、なかなかに生々しい。
 しかしそれだけでは “オモシロイものを見た” とは言えまい。

 もともと人通りの少ないところだ。そこへもってきて今は「外出自粛」を要請する立て札が辻々にたっているご時世だ。おそらくそのとき人の目がなかったので、飼い主はつい横着をしたのだろう。

 ところがちゃんとそれを見ている人がいた。世の中を甘く見てはいけない。天網恢々疎にして・・・って言葉の実例。
 しかもその目撃者は、(そこがオモシロイとこなのだけど)目撃証拠を現場にくっきり残しておいたのである。

 犯行現場はやや黒っぽい路面。その上に残された遺留品は、黄色いチョークの線でしっかりと丸く囲まれていたのである。
 そしてその傍らに、「〇月▽日×時」という犯行日時と、「勤め人風中年男、チノパン、ラフジャケット」という犯人の風体が書き添えてあったのだ。

 なるほどこういう手もあったか、とわしは感心した。
 公の場でマナー違反をする人間には、ほんとうは直接声をかけて注意するほうがいいのかもしれない。だが日本人にそれを求めてもダメ。国民性になじまない。
 しかしこの板書系の手を使えば、面と向かわないでマナー違反をたしなめられる。日本人でもやりやすい。

 おそらく本事件の犯人は今後、この道に犬を散歩させるのはチュー躇するのではないか。少なくともチノパンツとラフジャケットは着用しないに違いない。と同時に、横着を慎もうという気にも多少はなるかもしれない。

 一方、この犬フンにマークをつけた人は、そのときチョークを手に持っていたわけではあるまい。事件を目にしたとき、直接注意はできないけれど、路面に目撃証拠を残すアイディアを思いついた。で、家にチョークを取りにもどった。ということは、男か女かは分からないけれど、事件現場の近くに住んでいる人なのだろう。黄色いチョークの予備を持っていたということは、ひょっとすると、仕事で日頃からチョークを使ってる人なのかもしれない。たとえば教師とか・・・。あるいはかつて多くの事件現場を踏んだ元刑事とか・・・。いわゆる昔取った杵柄ってやつネ。

 なんてヘボ刑事みたいな推理をしてもしょうがないけど、ともあれ「壁に耳あり障子に目あり」という通り、この世の中はいつどこで誰に見られているか分からない。・・・ということが “本事件” からも追認できる。

 ましてや近ごろは、どこに防犯カメラもしくは隠しカメラが設置されているか分からない。チョークなどよりはるかに説得力のある証拠物件にされる可能性がある。
 くわばら、くわばら。
 ・・・ってあんた、なにか後ろめたいことでもしてるの?

 とんでもない。私、ハバカリながら政治家ではありません。

 

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