マイナンバーカードを紛失したらどんな目に遭うか?

消えたマイナカード

 このブログでは、たびたびカミさんの「紛失グセ」を嘆いて書いている。
 だからちょっと言いにくいんだけど、そのわしが先月ある物を紛失した。それも最も避けるべき、マイナンバーカードをである。

 マイナカードは、健康保険証や銀行口座、住民票や印鑑登録証明書など、日本社会で生きていく上に必要な基本的な事柄にデジタルでつながっていて、他人に拾われて悪用されれば、ドえらい被害をこうむる可能性がある。

 しばらく使用することがなくて、ふと気づくと見当たらない。
 慌てて周辺を探し回ったが出てこない。
 しんそこ青くなって、それこそ家じゅう這いまわったが、やはり見つからない。

 最初のうちは、カミさんには分からないようにこそこそ探していた。
 しかし、様子がやはりちょっと異常に見えたらしく、分かってしまった。

 わしが逆の立場だったら、いつも人に厳しく注意しているくせに・・・と皮肉のひとつも言ったかもしれない。
 が、カミさんは嫌味っぽいことは口にせず、いっしょに探してくれた。同病相憐れむ気持ちだったのかもしれない。見習うべきかもしれない。もっとも、カミさんの協力は大して役に立たなかったが・・・。
 
 家の中で見つからないとすれば、外で落とした可能性が高い。
 実はくだんのマイナカードは、革の「カード入れ」に入れてあって、診察券やクレジットカードもいっしょに入っていた。
 診察券は他人の役には立たないないだろうが、クレジットカードは被害にあう可能性が高い。拾い物として届けられる望みも小さくなる。
 
 とりあえずカード会社に連絡を入れてみると、幸いまだ悪用はされていなかった。ただちにこのカードは廃棄して、新しいものに切り換えてもらった。
 
 問題はやはりマイナカードだ。
 町役場に電話を入れて、再交付を申し出た。
 警察に届けてあるかと問われた。まず警察に届けを出さないと、役場での再交付はできないという。
 
 警察までは遠い。近くに交番もない。
 面倒だが仕方がない。バカバカしいことでも、手順を踏まなければ用が足せないことが多いのがこの世だということを、この年まで生きていればイヤというほど思い知らされている。逆らっても却って面倒が増えるだけなのも知っている。
 で、しぶしぶ、天気の良い日を選んで、管轄の警察所へ足を運んだ。
 
 運転免許証は前に住んでいた所で返還していたし、縄で後ろ手に縛られるようなお世話になることもなかったので、当町の警察署の建物の中に入るのは初めてだった。

 小さな町にしてはけっこう大きな建物だった。
 中は会社の事務所と大して違わない。やや乱雑な感じだが、予想外に静かだ。
 
 落とし物/紛失係へ行くように言われ、係へ行くと女性事務員からA4の紙を渡された。
 住所氏名のほかは、紛失した物の内容、時期、場所、紛失時の状況などを記入するように言われ、老眼鏡を忘れたので目を細め細めやっていると、突然、近くのどこかから爆笑に近い多数の人の笑い声が聞こえた。
 思わずペンを止めてあたりを見回したが、すぐにまた静かになった。いったい何があったのかと興味が湧いたが、あとはしんとして何の変化もない。
 
 必要事項を書き込んだ紙を窓口に返すと、紛失届けの受理番号を書いた紙を渡された。
 
 ついでだから、その足でその紙を持ってで町役場に行き、マイナカードの再交付を申請した。
 すると厚化粧をした中年女性職員が愛想のない顔で、本人確認のできる書類を出せという。
 いつも本人確認に使っているマイナカードを紛失して、その再交付に来ているのだというと、運転免許証とか他の書類があるだろうと覆いかぶせる。

 免許証は返還したのでないというと、健康保険証は持ってるだろうと返す。
 たまたま保険証は持っていたので出すと、顔写真のない書類は一通ではダメで二通必要だという。ほかにもう一通、本人が確認ができる書類は持ってないかと訊く。
 
 あいにく指名手配されてる身じゃないから、身元確認書類を二通も三通も後生大事に持ち歩く趣味はないワイ・・・と言ってやろうかと思ったが、さすがに年甲斐もないと思って、ただ持ってないというと、厚化粧は、無ければマイナンバーカードの再交付はできない、と冷ややかに突き放しよった。
 
 困った顔をしてそのまま突っ立っていると、さすがにちょっと人間らしい情が動いたか、少し柔らかい声になって、介護保険の被保険者証は持ってるだろうと問うた。年格好と心もとなげな応対から、介護保険ならあると踏んだのだろう。アタリだけど・・・。
 
 家に帰ればある、・・・と思うと答えると、じゃ時間を改めて、健康保険証と介護保険証の両方を持って来るように言い、今日はこれでおしまいといった感じで話を打ち切った。
 
 これ以上はガンバリようがないので、わしはしょんぼり役所を出た。
 そして日を改めて、健康保険証と介護保険証を持って町役場に行き、ようやくマイナカードの再交付の申請を終えた。
 
 ・・・といってすぐカードが再交付されたわけではない。役場での申請手続きが終わっただけだ。
 あとは正式の申請書を「地方公共団体情報システム機構」という所に郵送し、再交付が正式に機構で受理されたら約一ヵ月後に、その旨の書類が送られてくるという。
 
 その書類を持ってもう一回役場に行けば、再交付された実物を渡されるという。
 つまり今はまだ手にしていない。システム機構の正式受理の書類を待っている段階。
 
 そもそもマイナンバカードは、導入時から手続きが煩雑であるとか、受付けの際に不手際が頻発するかで批判が多かったが、紛失した場合も(紛失した落ち度はこちらにあるにしても)これだけの手数がかかる。
 
 何はともあれ、老人には住みにくい世の中になった。
 今年の12月から紙の健康保険証は使えなくなるっていうし・・・。
 デジタルで便利になるのは若者だけで、年寄りには逆にどんどん不便になる。
 飛行機や新幹線の切符も、野球や音楽会など催し物の入場券も、今やデジタル機械を扱えないとなかなか手に入らないらしい。
 
 やれやれ・・・だねぇ。
 

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