“聖人” も人間
”聖人” も人間である。
つまり一皮めくれば、”聖人” も “性人” である。
・・・という実際にあった話。
数ヵ月前にフランスで明るみに出て、世界の人々を驚かせた仰天ニュースだが、その報道が数日前に、わしの目にも入った。
その人は仏人アベ・ピエール神父(故人)。
彼は生前、住居のない困窮者の救済をひろく訴え、世論を動かした有名人だった。
彼は口だけでなく、実際にもきわめて精力的に行動した。困窮者に職を与えて生活の安定化を図ろうとして、廃品を回収し修理・販売する事業を立ち上げた。
のみならず数度にわたって下院議員を務めるなどの活躍もし、94歳まで生きて2007年に亡くなった。
当神父は、「フランス人が最も愛する有名人」を尋ねる世論調査で長年1位だったし、2021年(数年前)に実施された「過去40年間で最も影響力があった仏人」に関する調査でもトップに輝いた。
とにかくフランスで最も著名で、最も国民から尊敬され敬愛されていた神職者であった。
そのピエール神父が、生前、複数の女性にセクハラ行為や、性暴力的行為を約30年以上にもわたって繰り返していたという。
その事実が、去る7月にあるきっかけから発覚したのである。
どんな女性が被害を受けたかというと、彼が創設した福祉団体の職員やボランティア、知人などで、うち1人は当時は未成年者(16-17才)だったという。
フランスで最も尊敬されていた人物の裏の顔が明らかになって、カトリック教会やフランス社会に衝撃が広がっている・・・と各種マスメディアはセンセーショナルに報じている。
しかし実をいうと、わしはそれほど驚かなかった。
相田みつをさんじゃないけれど、聖職者だって “人間だもの” と以前から思っていたからである。
だから、カトリック神父の多くが一生妻帯せず職務を遂行していることに感心していた。その意志の強さを尊敬もしていた。が、ホントカナァ~、という気持ちもどこかにあった。
神を信ずるということは、普通では不可能な大きな力を生み出すのだろう・・・という感歎の気持ちもあったのだけれど、それでスッキリしたわけではなかった。
そんな腹の底の霧のようなものを、この事件は取り払ってくれた。
実際、ピエール神父自身、92歳のときのインタビューで、聖職者の妻帯を認めないカトリック教会の方針に、異議を唱えていたという。
話は飛ぶが、現在知られている世界の生きものの数は約175万種で、うち哺乳類は約6,000種、鳥類は約9,000種、昆虫は約95万種・・・まだ知られていない生物も含めれば3000万種ぐらいだろうと推定されている。
わしは動物を扱ったドキュメンタリーが好きで、テレビで放送されれば必ず見るが、そこに登場するほとんんどの生きものは、子孫を残すためにただ食べて交尾するだけに生きているように見える。
3000万種のなかで唯一人間だけが、社会や生活の複雑化で子供を作らない者が増えているけれど、「個体の維持と種の繁殖」つまり「食欲と性欲」が全生物の基本中の基本にあるということは否定できないだろう。
ピエール神父が聖職者の妻帯を認めないカトリックの方針に異議を唱えたのは、異端ではなくむしろ正常なのだ。
宗教も含めて人間社会は、人間の本性に反することを人間に押しつけている面がさまざまにある。そうでなくても充分生きづらいのに・・・。
この事件でも、そのことを思い知らされている。
当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。
聖人と性人の話、面白く読ませて頂きました。
つまずいたっていいじゃないか人間だもの・・・会田みつお
つまがいたっていいじゃないか人間だもの
「ず」を「が」に変えただけで、楽しい言葉にかわります。下段の「つまが・・・」の言葉も会田氏の言葉なのでしょうか?。
つまずいたっていいじゃないか人間だもの
つまがいたっていいじゃないか人間だもの
前の文章の中の「ず」を「が」に変える(後の文章)だけで、
内容がガラリと変わるのは、面白いところに気づきましたね。
しかもピエール神父の生き方と微妙に対応していますしね。
なかなかエスプリが効いていて感心しました。
ピエール神父をネット検索しました。1970年から2005年迄ですから95歳で亡くなっています。
1970年から2005年にかけて性的暴行が行われたと、記事にはありますので、神父58歳から93歳の間に7人の女性と性的交渉があった事になります。いつまでも元気ですねエーーーー。私にも希望が湧いてまいります。
イギリスなら国王から勲章がもらえ、オールド・パーならぬ、オールド・ピエールとのウィスキーが発売されたのでしょう。