同じ種で殺し合うのは人間だけではない(中)
イソップ物語の『アリとキリギリス』の話などで、アリはみんな働き者だと思いがちだが、意外にもアリの仲間のなかには、働くのが大嫌いなグータラなアリもいるという。まるでキリギリスの上前をはねるようなアリが・・・。
その話を今回はしようと思うが、前回の記事をお読みでない方は何の話か判らなくなるので、お手数でも前回の記事にざっと目を通しておいていただければと思う。(前回の記事『同じ種で殺し合うのは人間だけではない(上)』はこちらから)
さて、働き者が多いアリと同類でありながら、驚いたことに怠け者のアリもいるということを前回に述べたが、そのアリは名をサムライアリという。
彼らは、サーベルのように鋭い大アゴを持ち、名前が示すように戦いは得意だが、労働は嫌いだ。人間にもいるよね、この手のヤツ。口は達者だが体はぜんぜん動かさない御仁・・・。まあ、あまり人のことは言えないけどサ。
で、このアリは、巣の運営に必要な労働は奴隷にやらせる。そして自分たちはのんびり羽を伸ばして過ごす(羽はないけど)。
では、その奴隷は誰がやるのか。
コロニーのなかに、役割分担で奴隷を割り当てられるツイテナイ仲間がいるのか。輪番制とかで・・・。
ノー、である。
こともあろうに、他のアリのコロニーからかっ攫ってくるのだ。人間もかつてローマ時代に、戦争で捕虜にした敵兵を奴隷にしたように・・・。
いやそんな昔に遡らなくても、先の戦争(太平洋戦争)で大量の日本人捕虜がシベリアに連れていかれて、奴隷にされてからまだ80年足らずだ。
さてアリだが、奴隷にするために狙われるのは、ヤマアリという別種の働きアリである。
サムライアリはこのヤマアリを攫ってきて、労働に従事させる。
しかもこの奴隷にしたアリを、反抗させずに目いっぱい働かせるための巧妙な謀略まで持っているのだ。
どんな手を使うかというと、奴隷にする相手の匂いを、自分の身に付着させて、相手の仲間だと思わせるという。ひと言でいえば騙くらかすのだ。それによって自分たちの女王の世話までさせるというから、相当にあくどい。
じつに卑劣なアリだが、こういうテの奴は人間にもゴマンといるから、あながち驚くこともないかもしれない。
早い話つい最近も、隣国北朝鮮の兵士が某大国の戦場に連れていかれて、最前線で戦わされているという。すでに死亡者も出ているらしい。つい数日前のニュースだ。
国の首脳(権力者)同士の取引きの結果らしいが、戦わされる北朝鮮の末端の兵隊たちにとっては、命をかけた奴隷にされたも同然だ。
アリの話はまだ終わっていないが、早くも疲れてきたので、続きは次回ですることにする。(最近はすぐ疲れる)
当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。