同じ種で殺し合うのは人間だけではない(上)
当方、棺桶に片足突っ込っこんでいる「半ボケじじィ」である。
長年この世で「人間をやってきた」結果、いくつか勝手な持論を持っている。
その一つが、「人間は永遠に戦争をやめない」という見解である。
このブログでも時おり言葉にしているので、初めてする話じゃないけどサ。
先日、このわしの持論の背中を押すような番組を、NHKで見た。
土曜日の夜に放送される『地球ドラマチック』という番組。
フランス西部の小さな村に、一年間カメラを据えっぱなしにして撮ったというドキュメンタリー作品である。
いったい一年間も何ゴトに密着取材したのか?
・・・というと、実はアリの巣である。
よく知られているが、アリは集団で社会生活を営む動物で、数千匹の個体でコロニー(多数が集まって生活する状態)を形成して生きる。
このコロニーは、単に個々のアリが集まった集団・・・という以上のものである。一匹の女王アリを中心に、複雑で高度に組織化された社会を形成する。そのへんの人間の、ヘタな中小企業なんか負けそうなくらいの精妙さである。よく “王国” に例えられる。
たとえば作業効率を高めるために、組織内で明確な役割分担を構成する。
その実態を、このドキュメンタリー作品は詳細な映像にしていた。
春が来てコロニーが活動を開始すると、あるチームは冬の間に傷んだ部屋や通路の改修を行ない、別のチームは換気のネットワークを修繕する。寒い間に死んだ仲間の死骸を片付けるチームもいれば、日々産卵にいそしむ女王アリの世話を専門にするチームもいる。もちろん外敵が急襲してくれば、対応して戦う兵士アリもいる。
このように高度かつ複雑に組織化された社会を持っているのは、一億年以上も地球上に生きてきたからであるそうな。恐竜が闊歩していた時代から今日まで、エンエンと生きてきた動物だからなのである。万物の霊長などと威張っている人間など、彼らに比べれば足元にも及ばない新参者だ。アリたちは長い長~い時間をかけて、経験を積みかさねながら、こうした生きる知恵と世渡り術を身につけたのだという。
イソップ物語で有名な『アリとキリギリス』の話にあるように、アリといえば “働き者” というイメージがある
しかしアリのなかには、キリギリス顔負けの “怠け者” の種属もいるという。
このぐーたらアリもコロニーは形成して生きるので、巣の運営に最低限の労力・労働は必要である。
でも働くのが大嫌いなこのアリは、じつに恐るべき・・・というか、これが小さな虫の考え出すことかと驚くような戦略を考え出した。
考え出しただけでない。実際にその戦略を敢行して、今日まで歴然と生き延びてきたのである。
いったいそれはどんな戦略であり、どのように実行されるのか。
・・・ということに興味を惹かれるが、今回はすでに長くなったので、その実態は次回に述べることにする。
当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。