新たな「怪物」現わる

ゴミ出し

 わしの住む町は、今月からゴミの収集方法が一部変更になった。

 これまで個別収集ゴミは、「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の2種類だったのだが、「燃えるゴミ」が、「生ゴミ(調理ゴミや残飯等の食べものゴミ)」とそれ以外の一般的な「燃えるゴミ」の二つに分けて、別の日に出すことになったのだ。

 ちょっと面倒になるが、もともと自分たちだって不要物は固形物と液体の別々にして出しているのだから、まあふつうの人は文句を言わない。大した困難ではないしね。

 ところが認知症の老妻には、これが目の前に立ちふさがる壁になるのである。「生ごみ」とそれ以外のいわゆる「燃えるゴミ」を分けて出すことが難しいのだ。
 今までこの両者は一つのゴミ袋に入れていたので、それが体にしみついている。
 そこへ「収集方法の変更」という新しいルールができても、妻の頭は受け付けない。記憶領域が完全にシャッターを降ろしているからだ。
 
 しかし収集業者は、町から強く言われているのであろう、間違えて出すと「分別ルール違反!」の警告シールが貼って、持っていってくれない。

 で、生ゴミを出す前にいちいちゴミ袋を開けて、妻が間違えて入れたものを取り出さねばならない。
 生ゴミは冬の今でもソートーにイイ臭いがする。
 これで暑くなったら鼻がひん曲がるだろう。
 
 そうでなくてもあまり自慢のできる顔ではないのに、さらに鼻までひん曲げるのは避けたいと思うので、くり返し老妻に注意する・・・というより懇願するのだが、まったくもって効果がない。怪物「賽の河原」がここでも出現する。
 
 とにかく認知症患者は、共に生活する家族に「賽の河原」を増産する。
 こんなもの増産されても収入が増えるわけではないし、増えるのは「やっかい」ごとばかりだけど、ま、病気と言うのは、どんな病気でもそういうものだろう。
 
 で、老人になるとたいてい病気と仲良くなるので、しょうがないと諦めるしかない。

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当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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