目くるめく世界

宇宙

 NHKのBS放送に「フロンティア」という番組がある。
 宇宙・科学・医学、そして自然・動物・環境、さらには歴史・紀行など、この世のあらゆる現象の「フロンティア」、つまり現代の最前線をテーマにしたNHKらしいというか、民放では絶対にやらないカタイ番組である。
 
 民放テレビでやる番組は、たいていお笑い芸人などタレントが絡むので、わしはニガテである。何しろ近ごろ彼らはみんな同じ顔に見えるし、彼らがしゃべる言葉もときに外国語みたいで、よく理解できないことも多いから。
 で、ヒマがあると(・・・というかいつもヒマなので、テレビ様にお相手していただくが)、わしはこうしたNHKのカタメの番組もけっこう見る。
 
 先日見たときは、宇宙の最前線がテーマであった。
 最近は観測機器や観測技術が大きく進歩したことによって、より広くより遠くまでの宇宙情報が手に入るようになったという。
 
 人間は、人間同士で大量に殺し合ったりして、辛く悲惨な経験を重ねているにもかかわらず、少しも進歩しない愚かなところがある。しかし一方、医学や宇宙などの研究の進歩には目覚ましいものがあって、人間の知識・技能は「神の領域」に近づきつつあるのではないか、とさえ思えるほどである。
 
 さて、私たち人間は太陽の周りをまわる惑星の一つ、地球に棲んでいる。
 太陽は非常に大きな質量(物の大きさ・重量)を持っているため、強力な重力を発生させており、この重力は、地球や火星など太陽系の惑星たちを引き寄せている。
 一方で、惑星たちは宇宙空間を一定の速度で移動しており、その動きによって生じる遠心力(運動エネルギー)が太陽の重力と均衡している。このバランスが崩れない限り、地球は太陽の周りを回り続けるという。
 
 これらは以前から分かっていた太陽系の話であるが、その太陽系は「天の川銀河」の中の一つである。
 その「天の川銀河」には数千個の星があるという。(星の数を正確に数えることは塵やガスに隠されていて難しいけれど、最新の観測とシミュレーションによって、「2000億個~4000億個」という推定値が広く受け入れられている)
 わしらの太陽系は、その中の小さな小さな星の集まりの一つに過ぎない。
 数千個の中の一つ・・・。
 
 ところで宇宙には、「天の川銀河」のような銀河(星の大集団)が、幾つぐらいあるとあなたは思いますか?
 現在の推定では、(観測可能な宇宙には)およそ2個以上の銀河が存在すると考えられているそうだ。以前は「約2000億個」と考えられていたが、それは観測技術の限界によるものだった。
 最新の推定値は、ハッブル宇宙望遠鏡や深宇宙観測の結果から、約2兆個の銀河が存在すると推定されている。
 欧州宇宙機関(ESA)の最新解析では、7兆3750億個というさらに大きな数値が訂正値として示されているともいう。

 これらの銀河のうちの各銀河には、典型的なものでそれぞれ100億~4000億個の星(恒星)が含まれている。つまり宇宙全体では、数百億兆個もの星が存在する計算になる。
 目くるめくというか、気が遠くなるというか、もはやわしの頭では想像さえ不可能な数である。

 現に自分のいるこの宇宙には、数百億兆個の星があって、その中のたった一つの星が地球で、その地球には約870万種類の生きものが存在すると推定されていて、その中の単なる一種である人類の人口は82億3200万人で(UNFPA=国連人口基金)、その中の一人が “わし” である。
 それがどんなものであるかぐらいは、わしの頭でも想像できる。
 
 そんなわしの命など、ま、一匹の蚊やミジンコの命と何ら変わるところはない。
 そう思うと何かしらホッとする。
 なぜホッとするのかは、探れば何か出てきそうな気もするが、メンドー臭いので探らない。
 

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