夫操縦法アンケート 第1位
テレビのバラエティ番組で、夫の操縦法について、あらゆる世代の女性たちから取ったアンケート結果を発表していた。
で、あなたにも質問。
このアンケートでハエある1位を獲得した夫操縦法は、どういう方法だったかわかりますか?
回答。1位は「夫はおだてて使え!」だった。
驚くなかれ、全体の実に61%の女性が、夫を操縦するうえでこの方法が最も効果があると答えたのだ。
「おだてて使え」は「ホメて使え」と言い換えることもできるだろう。
これはわが身をふり返ってみても充分にうなずける。
たまたま何かで女房の仕事を手伝ったりすると、彼女はたいていホメる。くすぐったいくらいホメる。くすぐったくて体をくねくねしたくなるほど。
半ボケとはいえ、わしだって内心では分かってる。ハハーン敵さん、うまいことホメて使おうとしとるな、と。
そうと分かっていながら気分悪くないところが、この方法のすぐれている理由のひとつだ。で、頼まれていないことまでつい、「ついでにこれもやる?」などと言ってしまう。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ」
誰でも一度はどこかで聞いたことのある山本五十六元帥の有名な言葉だ。
元帥さん没後75年経つが、この言葉だけはしっかり生きている。それだけこのフレーズには真実味があるのだろう。
最近は特に、家庭でも学校でも職場でも「褒めて育てる」ということがさかんに言われる。
先日も、元女子プロゴルファー古閑三保さんがテレビ話していた。
彼女は、父親から徹底的にホメられて育ったそうだ。「お前は天才だ」というのは序の口、ゴルフ関連では何をやってもホメられる。ホメることがない日は、ごはんをよく食べたといってホメられた。それが彼女を賞金女王にした理由のひつであるのはまちがいないだろう。
だが問題もある。
日本人はいちど良いとなると、なんでもかんでもそれ一辺倒になるトコロがあるが、あまりホメられたものではない。
何のためにホメるのか、ホメてどういう方向へ導きたいのか、そもそもその子の性格を見極めたうえで、どのような人間に育てたいと思っているのか・・・などといったコア部分はすっ飛ばして、「とにかくホメときゃいい」とばかりにただホメる。そんなのはゴルフで池ポチャを打っても、水の音が良かったといってホメるようなものだ。
また、ホメられる側にも問題はある。
ホメられたからといっていい気になり、内容もよく考えず相手の言いなりになっていると、ていよく利用されるだけのバカを演じることになる。
カミさんにホメられて、家事手伝いをホイホイ機嫌よくやる程度のことなら、ていよく利用されても大した問題ではない。いや夫婦円満に貢献するのだから、ホメられてよい。
しかし、世の中には悪い人間もいる。計算づくでホメて、不当な仕事をさせたり、悪どい儲けをたくらむやつもいる。
そもそも、ホメられるにせよケナされるにせよ、人の言うことにたやすく影響される人間は、いわば自分のない人間だ。やはりホメられたものじゃない。
人がなんと言おうと、この問題に関する自分の考えはこうである、自分は自分の信念にしたがってこう行動する・・・といった1本すじの通ったものがあってこそ、初めていっちょまえの人間と言えるのではないか。
明治維新の立役者のひとり、勝海舟は次のような言葉を残している。
「行蔵は我に存す。毀誉は人の主張、我に与らず我に関せずと存じ候」
(私がどのように行動するかは私の考えによるものであって、それを貶したり褒めたりするの人の勝手、私にはまったく関係のないことである)
・・・なんてエラそうなコトを書いたが、これは人(勝海舟)の言ったことであって、わしには関係のないことだ。わしに関係するのはせいぜい、昔の人は偉いもんだなぁ、と感心してるところだけである。
つまりわしの実体は、女房におだてられて彼女の手のひらの上をホイホイ走りまわっている、世の61%の亭主と同じだということ。
ま、いっか。それで夫婦円満にすこしでもコー献するんだったら。