老人のみに起きるふしぎ

忍者

 この世には、老人にしか起きないふしぎな現象がある。
 ”老人性異常現象” とわしは呼んでいる。

 具体的にどんな現象かというと、老人の身辺でちょくちょく神隠しが発生するのだ。絶対なくなるはずのないモノが、あるときふいになくなる。完全に姿を消す。
 
 コインとか指輪とか縫い針といった、コロコロ転がってどこかのすき間にはまりこんでしまうようなモノではない。
 たとえば、さっきまでまな板の上で使っていた料理用のハサミが、ちょっと目を離したすきに・・・たとえば鍋の中を菜箸で2,3回掻きまわしているうちに、消えてしまう。辺りを探しても見つからない。で、キッチン全体はもちろん、となりの居間まで探すが出てこない。
 
 その場では家(や)探しまではやらないが、その後気にしながら数ヵ月経ってもやはり出てこないのだから、家探ししたも同然といえる。
 これはもう神サンが “神隠し” という神ワザを使ったとしか考えられない。・・・とわしには思える。
 
 こういうことが老人にはまま起きる。
 正直にいうと、他の老人たちに大々的アンケート調査を敢行したわけではないので、老人一般に広げていいのかどうか分からんが、少なくともわしら老夫婦には、この “神隠し” 現象がちょくちょく発生する。
 
 つい先日もこんなことがあった。
 わしは夜寝るときアイマスクをして寝る。
 夜中の2時ごろに目が覚めて小用に立った。ベッドから出てアイマスクを外し、いつものように枕の上においた。それがお決まりの習慣、ルーチンだから。
 それからトイレで用を足して帰ってきたら、数分前に枕の上に置いたはずのアイマスクがない。

 電気をつけて探してみるが見つからない。もちろんふとんや毛布のあいだなども丁寧に探したし、枕の下(そんな所へわざわざ押し込むわけはないのだが)も念のために探索した。ベッドの下や周辺も注意深く捜索した。

  先にも述べたように、転んでどこかのすき間にはまりこむようなモノではないのだ。

 翌朝、こんなイタズラをした神の鼻を明かしてやりたくて、昼の明るさのなかで再度寝室全体を徹底的に探索した。トイレの中と、寝室からトイレまでの筋みちも捜索した。可能性はゼロと思いつつもタンスを動かして、その背後まで調べた。ホコリがたまっていただけだ。
 不思議でならない。
 
 もしこれが “神隠し” でないならば、トイレに起きたときわしは一時的に完全に意識を喪失していたか、あるいは夢遊病者となり、アイマスクを枕のうえに置いたつもりで手に持ったままトイレへ行き、便器のなかに放り込んで尿といっしょに下水へ流したと考える以外にない。
 あるいはアイマスク自体が、毎日毎日夜になると老いぼれ爺さんの顔と共寝させられる日々にうんざりして、もうこんな生活はイヤ、このまま一生を終わりたくない、と家出をしたと考えるほかない。
 現代の日本に、そんなノラみたいなアイマスクがいるとは考えにくいので、神隠しへと思考が傾くのは自然ではないか。
 
 しかし先日、こんなこともあったから困る。
 朝起きて衣服を着替え、靴下を穿こうとしたら片方しかない。一方の足にだけに靴下を穿いたまま隈なく探したが、ない。
 また神サンがイタズラしたのか。いいかげんにしてよ、もォ~、とうんざりしたけれど、ないものはしょうがないので、別の靴下に穿き替えようとしたら、片方の足に穿いた靴下のうえに二枚重ねにして穿いていた・・・。
 
 ・・・というわけで、老人周辺で発生する “異常現象” が、真に “異常” であのるかそれとも “ノーマル” であるかについては、判断が分かれるかもしれない。むずかしいところである。

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当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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