殴る蹴る、場合によっては殺される

誤嚥

 年を取るととつぜんムセて、激しく咳き込むことが多くなる。
 加齢による誤嚥(飲食物が誤って食道ではなく気管の方へ入ってしまう現象)のせいで、一度ムセるとかなり長いあいだ咳き込む。
 これはけっこう苦しい。

 食事中が多いが、口にものが入っていないときでも、何かの拍子に唾液が気管の方へ行ってしまい(忍び込む感じ) 、ムセる。

 ボケぎみの爺さんがうっかり公衆トイレの女性用に入ってしまい、女性たちの烈しい視線を浴びてウロウロしているようなものだ。
 意図的でもウッカリでもなく、老化現象の一つとして起きるので、じつに厄介でやり切れない。

 いや、やり切れないだけでは済まない。
 口の中のウイルスや細菌など、悪いヤツラが一緒に気管支や肺にまでに入ってきて、炎症を起こすことが度々ある。・・・らしい(幸いわしはまだ免れている)。
 じっさい老人の死因としては、”誤嚥性肺炎” はかなり高率なのだ。

 話は飛ぶが、最近、闇バイトで集められた程度の悪い若いヤツラが、老人宅に押し入って強盗を働く事件が頻発している。殴る蹴るの暴行を加えるだけでなく、場合によっては殺されることもある。
 誤嚥と、状況が似ていないか。
 高齢者がとつぜん襲われて、殴る蹴る、場合によっては殺される・・・なんて、その理不尽さにおいて誤嚥は闇バイトと同じだ・・・とわしには思える。

 こんな理不尽な強盗事件に襲われる老人は、たまたまで運が悪いとしか言いようがないが、誤嚥の場合は運のいい悪いではない。
 年を取れば誰でもやられるのだ。
 闇バイトより、むしろタチが悪い。

 で、誤嚥予防のための対策が、新聞やテレビでたびたび報じられている。
 できることなら「殴る蹴る場合によっては殺される」は避けたいので、わしも誤嚥予防対策をやっている。

 口腔トレーニングである。早くいえば口やのどの運動。
 食べ物は食道へ、空気は気管へと仕分ける筋肉が咽喉(のど)にあるが、加齢で男トイレと女トイレの区別もつかなくなった「老いぼれノド筋肉」を、鍛え直すためにおこなう特殊なトレーニングがこの「のどトレ」である。
 
 まず、思い切り舌を出して顎の先の方へ伸ばす。5秒~10秒そのままに保つ。それを何度かくり返す。
 次に鼻の頭の方へ伸ばす。ついで右横と左横へも。
 さらに、やはり思い切り舌を出したまま、ぐるぐる回す。右回し30回、左回し30回。
 
 テレビでお笑いタレントがやらされているのを見たが、あまり見いいものではない。百年の恋も一挙に・・・となりかねない。
 ま、当方には「百年の恋」は関係のないが、わしはこのトレーニングを「誰にも見られない場所」でやっている。

 トイレの中である。
 便座に座って用を足しているときというのは、ふつう、足している用以外なにもしていない。口ものども空いている。
 で、この時を利用するのである。
 時間節約、一挙両得・・・ということもあるが、より大きな狙いは、のどトレの実行を忘れないようにするためだ。
 やっていてワクワクする行為ではないので、ついやり忘れる。
 しかし大小を問わず、トイレの便座に座ったら必ずやることに決めておけば、一日にまちがいなく数回は実行できる。
 
 誰も見ていないとはいえ、トイレでズボンを下ろして陰部を丸出しにした格好で、ベロを思い切り出したり回したりしている姿は、客観的に見ればコッケイだ。
 ときどきふと我に返ってニガ笑いする。
 
 が、まあ、しょうがない。
 ムセて苦しい思いをするよりましだ。
 年寄りはつらい・・・と思わないで、老人必須の運動のひとつ・・・と思ってやっている。
 

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当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

 

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殴る蹴る、場合によっては殺される” に対して 2 件のコメントがあります

  1. 色呆け爺 より:

    誤嚥予防の口腔トレーニング、その様な予防法がある事を初めて知りました。
    度々誤嚥をし、その度咳き込んで苦しい思いを繰り返しておりました。良い事を教えて頂きありがとうございます。私も今日からトイレで口腔トレーニングを始めます。家内にも教え夫婦そろってトイレで変顔訓練を続けたいと思っています。
    間違って女性用トイレに入った事はまだありませんが、気が付かず電車の女性専用車両に乗った事があります。
    「アレッ、この電車には女性が多いなア」と思いながら座っていますと、婆さんが私の顔をジロジロと見ています。「この婆さん私に気があるのかナア」などと思っていましたが、しばらく後に窓ガラスに「女性専用車」と書かれているのに気が付きました。道理で婆さんが私の顔を見ていたのです。一言注意して下さればよいものを・・・・
    車両を変わるのも面倒で、厚顔無恥・厚かましく恥知らずの私はそのまま座り続けましたが。

  2. Hanboke-jiji より:

    “色呆け爺” さんは私より少し若いと思いますが、もうすでに
    誤嚥が始まっておりますか。誤嚥はほんとに厄介ですよね。
    しんどいし・・・。年が進むとだんだんひどくなりますよ。
    ブログには長くなるので書きませんでしたが、もう一つ、
    誤嚥防止トレーニングがあります。半年ほど前にNHKが
    45分かけて放送したものです。簡単に言えば、やわらかい
    ゴムボール(テニスボール大)を顎の下に鋏み、顎を下方へ
    押しつけながら、5秒ほど息を吐き続ける。これを10回ほど繰り返して
    1セットとし、1日3回やるというものです。

    ところで電車の女性専用車両に乗った話は笑ってしいました。
    人生にこういうことは起こりますよね。

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