ユーレィが出た!?

真夜中の町

 先日の真夜中に、尿意で目が覚めて、トイレに起きたときのことである。

 ちなみにわしは夜中に起きても灯りはつけない。
 明かりに目をさらして、目が覚めて眠れなくなるのを避けたいからだ。
 瞳が暗さに慣れているので、無灯のうす暗がりの中でも鼻の頭を柱にぶつけたりはしない。
 
 で、数日前の話。
 トイレに起きて便所のドアを開けたときだ。
 目の前に黒い人影がボーッと立っていた。
 ユーレイ・・・が出た。
 
 まるで予想しなかったので仰天した。
 だらしなくもギャッというような声も出したように思う。
 子供ならまだしも爺さんの反応ではないが、出てしまったのだからしようがない。

 すると目の前の黒い人影も、キャッというような声を上げた。
 ・・・だけではなく、小さく跳び上がったように見えた。
 人影は女房だったのである。
 真夜中にトイレでかち合うなんてことは、めったになかったのだが・・・。
 
 ま、そうと判ってみれば、「ああ、驚いた!」でわしは済んだ。
 が、女房はそれだけで済まなかったらしい。
 出てしまったのである。
 ユーレィでない、本物の実物が出た・・・という。
 不意に体に力が入ったときに、最近ちょくちょく起きる現象のようだ。

 若いときなら、彼女だって身も世もなくアタフタするところだろうが、双方とも80を過ぎた老木である。羞恥心もエネルギーも枯れている。
 よけいな面倒ごとが生じただけだ。

 始末をするからアッチヘ行ってて、と追い払われて、わしは自分の尿意をがまんしてトイレを出た。
 
 老齢の女性に多いらしいこの尿漏れという現象も、老人にはヤッカイな問題のひとつだ。
 ホホやアゴの筋肉が年を取るとゆるむのと同様、下腹部の骨盤底筋という筋肉がゆるむらしい。
 特別に不思議ではない。パンツだって長く穿いていれば、ゴムが古くなってずり落ちる。あらゆるものごとに共通の現象だろう。

 ・・・ということは、文句も愚痴も言わないで受け入れる以外にない。
「誤嚥」に対しては「あごトレーニング」をやるように、「尿漏れ」には「骨盤底筋トレーニング」をやって、わずかばかりの抵抗を試みるぐらいしかできない。
 年月を経ればモノゴトは変貌する。

 要するに諸行無常である。

 と大きく出てハカナくナグサメルか・・・・。

ポチッとしてもらえると、張り合いが出て、老骨にムチ打てます

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当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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