うそ寒い定位置

 どの家にも、家族それぞれが座る定位置というものがある。猫のタマにも。

 かつては、床の間にいちばん近いところに家長がでんと座っていて、他の家族がそこへ座るのはタブーだった。(・・・ってこれ、だいぶ昔の話ね)
 
 で、現在のわしの話になるが、わが家の戸籍の筆頭者欄には、いちおうわしの名前が載っている。つまりわしは戸主、いわゆる家長である・・・はずなのだが、「主」や「長」の気配 はどこにもない。
 どういうことかというと、わが家のわしの定位置は「床の間」からハルカニ遠い。
 ・・・というのは、どっかの国の首相がよくやるウソ発言である。
 予算委員会で野党議員に突っ込まれるだろう。「あんたの言っていることは嘘だッ! 理由は明快。あんたの家には床の間がない!」
 これ、事実。でも首相みたいに、強引かつ卑怯な言い抜けはしませんよ、あっしは。
 
 余計なことを書いているけど、言いたいことは単純。要するに現在のわしの定位置だ。
 何を隠そう、それは「パソコンの前」である。
 隠してもどうということはないが、何ともうそ寒い定位置だ。
 
 早く言えばわしの一日は、パソコンとインターネットに支配されている。このご両人がいなければほとんど何もできない。
 
 もしパソコン様にヘソを曲げられてそっぽを向かれたら、わしは一日、手足をもぎ取られた人形みたいにしょんぼりしている以外にない。
 
 ・・・というような状況の中で生きている。
 こんな老後になるとは夢にも思わなかった。
 それは時代のせいで、わし自身の責任ではない。
 ・・・と思うが、誰のせいであろうとやはりうそ寒いことに変わりはない。
 

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当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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