すっぴん談義 -とにかく男は上が好き-
最近「すっぴんカフェバー」なるものが現れて、人気だという。
この手のサービス業界で接客に従事する女性は、キャバクラ嬢が代表するように、念入り厚めに化粧するのがふつうだろう。
ところがこの「すっぴんカフェバー」では、看板どおりにすっぴん もしくはすっぴんに近いナチュラルメイクの女性がサービスするらしい(らしいというのはわしが実際に見たわけではないから。ホントは、出かけて行って自分の目で確かめたほうがいいのは分かっているが、わしにはもうそこまでするエネルギーはない。軍資金もないし・・・)。
ともあれこういう店が流行りだしたということは、サービスされる側がそれを求めているということだろう。客の多くは勤め帰りの男たちだ。仕事ですりへらした神経の回復を求めて、財布の中身がすりへるにもかかわらずやってくるのだ。
想像するに、そういう男たちにとって、キャバクラ風に完璧にメイクしたホステスは少々気が重いんじゃないかと思う。
完全武装で接客してくれている彼女らには、こっちもそれなりの対応が必要かも・・・と誰に命令されたわけでもないのに、かってに思っちゃう。少しはシャレたことでも言って場を盛り上げなきゃあ・・・なんてね、サービスしちゃう。
それでいて帰るときに金を払うのはこっちだから、心の帳尻が取れない。ストレスが残る。
それくらいなら、すっぴんの女性と気軽に冗談でも言い合いながら飲むほうが、酒がうまい。疲れもとれる。その上価格帯も低めだという。人気が出るのは当然だろう。
それにしても・・・と考えるのだが、カフェバーに限らず、男は結局、自分より “上” の女は苦手なんだなと改めて思う。人間のレベルが自分より “下” の女のほうが、男はホントは好きなのだ。
なぜかって? そりゃ気がラクだからだ。
だから日々の生活では、完全すっぴん女と暮らしている。
しかし、なぜか自宅のすっぴん女とは積極的に楽しもうとしない。
なるべく触らずに放っておく。ま、せいぜい生返事で応対するくらい。
少々気をラクにしすぎだ。
それでまた気づいたのだが、わしの周辺でも、人間として上等な女性は結婚していない人が多い。
モノの本質がよく見えて、見識や判断力もあり、一生を共にするにはこんなにいい相手はいない・・・と思えるしっかり者の女性が、おうおう結婚していないケースが見られる。
彼女らはべつに独身主義者ではない。求婚する男がい少ないだけなのだ。テレビに出てくる女性のなかにもそういう人が目につく。実にもったいないと思う。
もう一つ別のことを言おう。
男が自分より “下の女” を人生のパートナーにしたがるのは、気がラクなだけでなく、もう一つ、男の自尊心も隠微に関係しているように思う。
何かにおいて、あるいは何においても、相手の女性が自分より上であることが許せない。
特別これといった考えあるいは信念があるわけじゃない。とにかくそういうのは気に食わん、といった自尊心・・・自尊心というもおこがましいケチな心理が、男にはひそかに働くように思う。平ったく言い換えれば、男のメンツあるいはコケンとか言われるやつである。
その底には、封建時代から引きずってきてカビの生えてる “男尊女卑” の尾てい骨が隠れている。(大相撲の土俵に女をあげないなどというのも、根は同じだろう。)
しかし、ちょっと距離をおいて冷静に眺めれば、長年一つ屋根の下にくらすパートナーの人間のクォリティと、ケチな男のメンツやコケンなんてモノとどっちが重要か、ちょっと考えてみれば分かるはずだと思うのだが・・・。
男も心をすっぴんにすれば、男自身もっと幸せになれるのになぁ~と思う。
・・・ってわしもその男だから、自戒をこめて。