自分のオシッコを飲めますか?

オシッコ、飲尿

 最近、有名人が次々と亡くなっている。
 そのひとりに「さくらももこ」さんがいる。言わずと知れた平成の長谷川町子といわれた漫画家だ。
 作品がアニメ化されたりして国民的人気があったこともあり、マスコミは彼女の死を大きく取り上げた。享年53。
 乳がんだったらしいが、53歳というのはいかにも早死だ。マスコミが大きく扱ったのは、そのせいもある。

 わしも彼女のマンガやエッセイを何冊か読んでいる。
 それで、彼女の50歳代前半の死を知ったとき、いちばん先にに頭に浮かんだのは、彼女がいわゆる健康オタクだったことだ。
 それも、昨今その辺にごろごろいる健康愛好家のレベルではない。一頭地を抜く極めつけの健康オタクだった。ほとんど “健康フェチ” と言いたいくらい。長生きすることへの願望は尋常ではなかった。

 今回この記事を書くに際し、「ももこ本」のなかの健康に関るページに念のため当たってみた。

 改めて思った。彼女の健康への思いは、ほとんど信心・信奉の域に達していると。
 健康神に奉納する技芸や供物はじつに多岐にわたっていて、いちいち挙げているとそれだけで日が暮れる。で、1例を取り上げてみる。

 わしにとっていちばん印象に強いのは、彼女が健康のために毎日自分の尿を飲んでいたことだ。

 恥ずかしながらわしは若いころ手にしたエロ雑誌で、セックスプレイのひとつとして相手の尿を飲むシーンを読んだことがある。が、さくらももこさんの場合は、健康のために自分のオシッコを毎日飲んでいた。わしなんぞそう聞いただけでオェッとなるが・・・。

 しかし、彼女の信ずるところによると、飲尿は大いに効く、つまり健康に良いらしい。
 理由はふたつある(と彼女は信じていた)。
 まず尿のなかには、当人の体の状態を示す情報・・・言い換えれば健康と不健康に関する現時点におけるさまざまな情報が入っているという。この貴重な情報をそのままトイレに流してしまうのは、いかにももったいないということ。

 もう一つは、喉は情報感知器官で情報収集センターだといういこと。
 たとえば、風邪でもインフルエンザでも、ウイルスが入ってきたらまず喉で感知する。喉はそれを脳に知らせ、脳は指令を出して速やかに自衛態勢を敷く。うがいをしたり、クスリを服んだり、首にネギを巻いたり、暖かくして布団へもぐりこませたりして、ウイルスが増殖し全身へ広がるのを防ぐ。

 風邪やインフルに限らない。喉はさまざまな情報を収集する役割を持っているそうだ。いうならネット世界のグーグルみたいなもの。
 つまり自分のオシッコを飲むということは、自己の身体のさまざまなホットな情報を収集センターへ送りこむことを意味する。

 その情報をもとに、脳は問題のあるところへはただちに対応の指令を出すので、尿を呑むということは健康を維持する上に大いに役立つ・・・ということらしい。

 これだけ聞くといいことずくめのようだが、もちろんイタダケナイ部分もある。
 率直にいえば、まずい。・・・らしい。
 人間は自分のことはなんでも良く言い、人のことは悪く言いたがるが、自分のオシッコは例外のようだ。とりわけ朝いちばんに飲むオシッコは、濃くてふつうならとても飲めたものではない、と彼女は言っていた。

 しかし濃いということは、情報がたくさん入っているということだ、と彼女は解釈した。情報を制する者は世界を制す。まずいとかなんとか言っている場合じゃない。命の次に大切な健康のためなのだから・・・とみずからに言い聞かせて、さくらももこさんは自分のオシッコを、かなり長い間がまんして飲み続けたらしい。
 その熱意は、「断じて行えば鬼神も之を避く」ということばを思い出させるくらいだ。
 
 だが、53歳で命を落とした。
 鬼神も避けなかった。
 飲尿をはじめとする多くの健康神への貢物や奉納技は、その肉体とともに空しく消えた。

 おそらくあの世のさくらももこさんの顔には、何本ものタテ線が濃く入っていることだろう。

 とはいえ、思った通りにいかないのは人間の常である。
 絶大な人気を獲得したちびまる子ちゃんも例外ではなかった。
 ・・・ということを、自ら身をもって示してくれたことを以てせめて多としたい。
 ご冥福を祈る。

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