女房からクレームが来た

女房からクレームが来た

「あんた、いいかげんなこと書かないでよ」
 最初は、ウン? 何のこと? だった。
 ”書かないで” と言うのだから、まあブログのことだろうとは察したが、どの記事の何のことを言っているのか分からない。
「何を読んだの?」
「わたしが洗濯フェチだとか、警察犬だとか、うれしそうに書いてるでしょ」
「ああ、あれ・・・」
 わしは内心少々うんざりした。
 世間に公開された文章は、時おりモデル問題というトラブルを引き起こす。しかしそれはその文章で被害をうける人間が、特定されうるときだ。わしのうんざりの理由はそこにある。

「あのね、あのブログはハンドルネームで書いてるんだよ。要するに匿名。誰が書いているのか、書いてる本人以外だれも知らない。・・・ということは、そのヨメさんが誰であるかも、知るひとはこの世にひとりもいないんだ」
「そんなことは分かっているわよ」
「だったらそんなに目くじら立てることないんじゃないの? 誰のことか分からないのに、名誉棄損罪は成り立たないよ」
 女房はそれには答えずに、近くの椅子を引っぱってきて座った。簡単には引き下がらないつもりらしい。(カミさんがクレームをつけた記事『誰にでもプチ幸せはある』は、こちらから)
 
 カミさんの言い分を要約すれば、だいたい以下のとおりである。
 2018年10月5日に書いた記事で、洗濯が好きで天気さえ良ければ洗濯機をまわすカミさんの姿を、たしかにやや揶揄的に書いた。その記事をカミさんは最近たまたま読んだらしい。

 だがその記事でわしは、多少の誇張はあっても、自分の目に映ったとおり、感じたとおりに書いている。ありもしないいいかげんなウソは書いていない。
 
 だが女房は反論する。
 もしそれがほんとうなら、あなたの目や感性は底が浅い・・・と。
 洗濯する女の実態や実情をきちんと見ないで、ただ上っつらをかいなでているだけだ。そんなものを気楽に世にばら撒かれたら、世間の多くの女性が迷惑する。それなりに知識をたくわえ、時間をやりくりし、工夫をしながらやっているのに、男のひとりよがりで笑いのネタにされる理由はないと。
 
 なるほど、言われてみればそうかもしれない。洗濯にはあまり興味のない男のわしが、女の洗濯を表面的に見てやや茶化しているのは否めない。冬にそなえてけんめい働くアリをみて、こんな気持ちのいい晴れた日に働くなんて・・・とせせら笑うキリギリスにやや近いかもしれない。

 それは認める。
 しかし、洗濯に関心をもたない男のなかには、洗濯する女をこんなふうに見ている者もいる、というのもまた一つの現実である。
 実際、こういう男は世にけっこういる。いやそういう “底の浅い” 男は、とりわけ中年以上の世代にはごまんといる。

 そういう現実があることを世に知らせるのも、ブログのささやかな役目のひとつだと思えないか、と言ってみたが、十分な納得は得られなかったようだ。
 
 わしは思うのだが、女も、男のしている何かを茶化してやればいいのだ。
 たとえばプラモデルづくりに熱中している亭主。
 いい年をした大人が、子供のオモチャをいじくりまわして何がおもしろいの? 何の役にも立たないのに・・・と。
 いや、リビングのサイドボードの上に、戦車のオモチャなどを自慢げに置かれたら掃除の邪魔だし、お友だちが来たとき恥ずかしい。「あら、お宅の坊や、そろそろ大学生じゃなかった?」などと言われて・・・。
 
 男は反論するだろう。
 生活派プラグマティストの女には、しょせんプラモデルのロマンや奥深さなど分かりゃしない。座敷ぼうきにルンバの働きに感動しろと言ってもムリだろ?・・・などと言って。
 
 まあ、この世はこうしたデコボコで成り立っている。ゆえにそれにいちいち目くじら立てるんじゃなくて、こんなぐあいに笑いとばし合って遊んでればいいんじゃないのかなァ・・・と思うんだけど。
 
 それでいて一方でまた思う。
 こういう抗議がくることで、今まで知らなかったり気がつかなかったことに目が開くこともある。だからまあ、感じた不満は腹のなかにしまっておかない表に出して言うことも必要かもしれないナと。モノ言わぬはハラふくるるワザなり、と吉田兼好サンも言ってるし。
 
 ま、人間はいろいろとめどくさいけど、それが人間だからねぇ。

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