家族の人間関係(上)

家族の人間関係

 3歳年下の弟がいる。
 わしよりだいぶ出来がいい。
 ひとに優しい。
 社交的な性格で、他人の面倒をよくみる。
 だから皆に好かれる。周りに人があつまる。
 狷介なところもあるわしとは、ソートーに人間が違う。

 ひょっとすると “タネ” が違うのでは・・・と一時期疑ったことがある。
 だが、目鼻の配置や頭のハゲぐあいがよく似ているし、声などまるで同じ。電話だとよく間違われる。
 タネが違えばここまで酷似しないだろう。
 そもそもあの母親が浮気をする女だとは考えにくい。考えたくないだけなのかもしれないけど・・・。

 ともあれ、そうした弟の人間性からして当然の結果ではあろうが、彼は経済的にわしよりよほど裕福である。

 ・・・ということもあって、かつて彼はちょくちょくわしら夫婦をもてなしてくれた。
 住むところは関東と備州とだいぶ離れているのだが、仏事などで親族が集まったとき、その集まりの後で、ふつうではちょっと行けないような高級料理店や、短い旅に誘ってくれた。
 
 7,8年ほど前だったろうか。
 父親の三十三回忌のあと、彼がメンバーになっている会員制リゾート施設に招待してくれたことがある。
 
 そのあと、なぜか彼ら(弟とそのつれ合い)のわしらに対する態度がが一変した。急に冷たくなったのである。
 
 理由ははっきりしなかった。
 しかし振り返ってみれば、リゾート施設で楽しませてもらっていた間に、わしは、そうでなくてもゆるい頭がアルコールで締り失って、彼の自尊心をひどく傷つけるようなことを不用意に口にしたかもしれない。・・・したような気がする。
 
 住むところがもっと近ければ、酒でもぶら下げてさりげなく訪ね、率直に話して、謝るべきところはきちんと謝り、あいだに挟まったわだかまりを取り除くこともできたかもしれない。
 
 しかしそうするには少し遠すぎた。
 あえてやれば、わざとらしさが匂う。
 わしは何においても、心底(しんてい)が透けて見えるようなことは避けたいと思う人間だ。
 ほかに良い手だても思いつかず、しょうがないやと放っておいた。
 そこらあたりに、身内であることの甘えが悪く出たのかもしれない。

 兄弟は他人の始まりという。
 人間関係は、他人とより家族相手のほうが難しいとも言われる。
 ともあれこうして、こちらから年賀状を出しても無視される・・・というか、向こうからは来ない年が何年か続いた。
 身から出た錆とはいえ、弟へ思いがいくと気が重くなる歳月だった。

 ところがである。
 あるとき、ひょんなことがきっかけで、弟との関係がひょいと回復した。
 こういうところが人生の面白さだとわしは思うが、長くなるのでくわしいことは次回に。
 

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