減るモノ増えるモノ 二重奏

連弾

 年をとると減る。
 貯金の話ではない。
 
 わしがしようとしているのは、生身の人間の話。
 目に見えるモノのみならず、目に見えないモノも、人間は年とともにだんだん減っていく。

 目に見えるもので減るのは、皮ふの張りと艶、頭髪の密度、健康な歯の数、食べものの量、歩く速度、異性にタッチする回数・・・などなど。

 目に見えないもので減るのは、やる気、集中力、元気、負けん気、粘りけ、なにくそ根性、性欲・・・などなど。
 
 ところが、年をとってもまるで減らないものがある。
 いやむしろ増えているのではないか、とさえ思える。少なくともわしには・・・。
 
 それは何かというと、「爪」と「ヒゲ」と「鼻毛」である。
 これらのモノたちのハツラツ状態は、日々、ニョジツに実感する。
 
 何によって実感するかというと、爪のばあいはパソコンである。
 たびたび書いているが、パソコンは今やわしにとっても生活必需品だ。これなくしては入れ歯を失うのと同じくらい、生活が成り立たない。

 で、毎日パソコンのキーを打つが、その打つときの感覚が毎日ちがう。
 日々爪が伸びてくるからである。
 つまりいやでも爪の成長を日々実感する。
 
 いちばんキーの打ち心地がいいのは、爪を切った直後だ。指の腹が直接キーに触れる。各キーの表情が手に伝わってくる。キーを介してデジタルとのコミュニケーション。
 余談だが、精密さを求められる金型の熟練職人は、コンピューターでも識別できないミクロン・レベルの金型の凹凸を、指の腹でなでて感じ取るという。
 
 もう一つ余談を重ねれば、人間の身体でいちばん繊細な部分は、指の腹と舌の先だ、と聞いたことがある。
 つまり、美女ふたりを目の前に並べて交互にキスすれば、たとえ完全に目をつむっていても、A美女とB美女の識別ができるということだろう。残念ながらわしにその体験はないけど・・・。
 
 次にヒゲに移る。
 わしは、鼻の下と顎の下にヒゲを生やしている。格好つけてるわけじゃない。ヒゲでも付けなきゃ格好つかないのだ。

 これらヒゲ連中は、年をとってもなぜか頭髪のように密度が薄くならない。元気ハツラツに密集したままである。

 何のために連中は年とってもこんなにも密生して元気なのか、わしの理解をこえる。
 ちょっと油断すると、すぐ鼻の下や顎の下がボーボーになる。あたらイケメン顔を台無しにする。「無し」にする「台」があるの?・・・なんてヤボも問わわない。
 
 ヒゲの成長を感じるのは主に食事どきである。
 味噌汁とかコーンスープとかを啜るとき、伸びた鼻ヒゲの先が汁やスープに接触する。
 ただタッチするだけではない。毛細管現象で汁やスープが吸い上げられる。鼻ヒゲがしとどぬれる。喘いだりしない。どころか気持ち悪い。

 鼻ヒゲの場合もまあ同じようなものである。で、詳細は省略する。
 ただ、元気よく成長したヒゲの鼻穴からはみ出す姿が手鏡の中に映るるは、あまりゾッとしないとだけ付け加えておこう。
 
 ・・・とまあコトほどさように、年をとると減らないで増える部分もある・・・という話をした。
 
 生きものはすべて死が近づくと次第に衰える。
 にもかかわらず、先はあまりないのにそんなに元気よく成長してどうしようというのだ?
 ・・・とわしは以前からフシギに思っていたので書いてみた。
 
 何の役にも立たないのに? 
 はい、年をとると役立つモノも減りマス。
 

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