白内障の手術をしたら・・・

夕景

 先日、カミさんがようやく白内障の手術をした。
 
 ようやく・・・というのは、だいぶ前から小さい文字が読めないとか、遠くの風景がぼやけてよく見えないとか言って嘆いていながら、当人が積極的に治そうという行動を取らなかったからである。

 しかし認知症が忍び足で進行して、短期記憶はどんどんゼロに近づいているし、日々の生活でやれることは目に見えて減っている。
 このまま自然に任せるままにしておくと、文字や遠景のみならず、人生のそのものの先にも明るいものはあまり見えない。

 認知症になってから、彼女は計画的にものを考えることが難しくなっている。で、わしが動いて眼科医の予約をとり(白内障の手術はする人は多いらしくて数ヵ月待たされた)、数日前にようやく施術を終えたのである。
 
 白内障の手術は技術が進んで、最近は簡便になったと聞いていたが、聞きしに勝るものだった。
 片目だけだったのでオペそのものは15分ほどで終り、そのあと30分あまり安静にしたら、眼帯をしたままではあるが、もう歩いて帰ることができた。もちろん治療代を払ってからだけどね。
 
 ちなみにオペ代は、自己負担1割の健保が利いて、1万7千円ほどだった。
 もっとも術後の目を守るためにかける保護メガネが、プラスチック製のチャチなもので、100円ショップでも買えそうなものなのに4,500円もして、目玉が飛び出たけど・・・。
 
 翌朝にクリニックを再訪して、術後の問題はないか検査を済ませたら、もう眼帯を外してOKだった。

 で、診療所を出て外の景色を見たとたん、カミさんは感嘆の声をあげた。
 あまりにも風景がよく見えるから・・・だという。

 白内障は、おもに加齢によってカメラのレンズにあたる水晶体が白濁する病気なので、手術でその濁ったレンズを取り換えたから、鮮明に見えるようになったのは当たり前なのだが、当人にとっては手品を施されたような驚きだったようだ。
 
 その驚きはそれから数日間ほど続いた。
 朝起きてベランダから外の風景を見ると、まるで有名な景勝地の展望台から絶景を眺めているようにキレイだと言うし、夕焼け空や雲を見て、この世のものではないものを見ているかのように感動している。

 空を飛んでいる小鳥を見て、顔もよく見え、とてもカワイイ顔をしていたとも言った。ホント?
 
 白内障の手術をした老人の述懐で、自分の顔や手のシワやシミが、あまりにひどいので愕然として落ち込んだ・・・という話もよく聞くが、カミさんにその感慨はなかった。

 というのは、80歳目前のカミさんの皮ふが今なお若々しいから・・・というのでは勿論ない。
 今回の手術は右目だけで、入れた人工のレンズが遠目用のものだったので、近いものは相変わらずボケたままだったからである。

 2週間ほど後に左目の手術もして、こっちは近目ちかめ用のレンズを入れる予定なので、そのときどのような感嘆の声をあげるか楽しみである。
 

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