大発見か

川と白鷺

 前回にのべた今回の風邪は、これといった面白味のないごく普通の風邪だった。
 途中から大肺病にでも大化けして、”人工肺エクモ” につながれて死線をさまよった・・・てなことにでもなっていれば、ここに経過報告を書くにしてももう少しサマになるのだけど・・・。
 というのはむろん冗談で、これ以上、人生にツライ思いはしたくないヨ。本音は・・・。
 
 もっとも、平凡な風邪だったが症状はけっこうひどかった。特に咳と痰に長く苦しめられた。
 その経験から、思いもしなかった、蚊の尻っぽみたいな小さな気づきを得た。
 
 わしはふだんから、加齢と脳梗塞の後遺症で誤嚥がひどい・・・と折りに触れて書いている。

 ところが咳と痰を発してゼイゼイ・ゴンゴンやっていると、その間はどういうわけか誤嚥がぜんぜん出ないのだ。

 そのことに気づいてからは注意して気をつけていたが、まちがいなく誤嚥しない。それまでは一日になんども気管のほうへ食べ物や唾が入り込んで、咳き込んでつらい思いをしていたのに・・・。
 
 なぜだろう、不思議だなァ、と思って考えてみると、蚊だってオシッコするのと同じくらいに当たり前の話だった。
 
 痰は病変などで気道から出される粘液性の分泌物だ。
 異端物であるその痰を吐き出そうとして、のどの筋肉がケンメイに働いている状態が、咳をするということである。
 で、風邪で痰が、テレビのお笑い芸人のように嫌がられてもやたら出てくれば、のどはそれを除去しようとしてケンメイに働く。

 じっさいわしは風邪の最盛期には3,4分おきに激しい咳をしていた。
 当然の結果として、のどの筋肉は鍛えられる。わしが朝晩誤嚥防止用にやっている「のどトレーニング」などより、何十倍何百倍の苛酷な鍛錬だ。
 ひとの隙をみてチョロチョロ忍び込む誤嚥など、恐れをなして(あるいは遠慮して)尻込みするのは当然だろう。
 
 ・・・とまあ、そういう “大真実” に気づいたわけだが、これがホントに「真実」であるかどうかは、医者ではないわしの保障の限りではない。
 
 が、まあ、こんな小さなことでも、自分がじっさいに経験してみなければわからなかった。
 経験は偉大である・・・とは言えるだろうナ。
 

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