意欲喪失と記憶力喪失の競演
日常生活において髪を洗うことは、それほど難しい仕事ではない。
風呂に入ったときに体を洗うついでに、髪も洗うのが普通だろう。
髪だって体の一部だし、たいした手間でもない。
ところが年を取ると、これが仲間外れにされることがある。
つまり最近、髪が体の一部であることを忘れられて、洗われないですっ飛ばされるのである。
わしのことではない。カミさんの話だ。
年を取れば認知症になる可能性が高くなる。最近は後期高齢者の3分の1・・・MCIと呼ばれる初期症状も入れると、2分の1近くがなるという声も聞く。で、わがカミさんもこの仲間に入ってしまった。
認知症のなかでもいちばん多いと言われるのがアルツハイマー型で、このタイプはまず記憶力が消える。
カミさんのも優秀な記憶喪失能力があり、今や3秒前のことは完全無欠に忘れるパワーがある。
で、風呂に入ったときに、髪を洗うのを忘れるのである。
認知症はあるていど進行すると、何かをしようという意欲も失われる。そこへ親分筋の記憶喪失力が加勢するから、カミさんの “洗髪飛ばし力” は想像以上に強力だ。
で、対策も強気にならざるをえない。
まずカミさんが風呂に入る前に、うるさいほど髪洗いを忘れないように言う。さらに入浴中に時間を見計らて扉をたたき、ふたたび髪を忘れないようにくり返す。
にもかかわらず出てきたとき確かめると、髪は濡れていない。髪のことはまったく忘れていたと情けなさそうな顔をする。
毎回それが繰り返されると、もう一度風呂に入リ直して髪を洗ってこい、と怒鳴りたくもなるが、責められても当人は困るだけだし、あんまり強く言いすぎると、風呂に入ること自体を嫌がるようになりそうなので、つい引きさがってしまう。
かつて若い女性のあいだに「朝シャン」とかいって、毎朝髪を洗うのが流行した時期があった。毎日とは言わなくなくても、数日以上髪を洗わないでいるのは問題だ。彼女は週3回デイサービスに通っているので、周辺の人たちに迷惑をかけている可能性もある。
わしは近くに居るので鼻が慣れてしまっているのかあまり臭わない。けれどこの問題の対応は厄介だ。
一緒に風呂に入って手助けするのがいちばん簡単だが、彼女は一緒に入られるのを嫌がる。
老いた裸を見られるのがイヤだと言う。
何を、今更!
60年近くフーフーやってるのだ。相方の裸がドーノコーなんてハナから思っていない。こちとらの裸だって同じように老いさらばえているのだし・・・。
それにしても、頭のほうはソートー老いているのに、見かけを気にする神経のほうはあまり衰えていないというのは、どういうことなのだろう。
こういう神経は男にはあまりないような気がするが・・・。
当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。
毎日の介護生活、ご苦労様です。
私の家内も、パーキンソン病を病み要介護3で、将来は認知症も発症するのでしょうが、今の所認知症の兆しはありませんが、それだけに介護に気を遣う事も多々あります。
ドーパミン(神経伝達物質)の不足で、体が思う様に動かず、狭い室内でも転倒する事が多く、骨折しない様毎日ハラハラしています。室内では杖と手すりと手押し車を併用していますが、毎日の事ですから、つい健康な時と同じ感覚で動こうとしてバランスを失ってしまうのでしょう。
転倒骨折されては困りますので、入浴介助やトイレ介助も行っています。
先日も私が目を離した隙に、トイレに行こうとして転倒し、はずみに大便を漏らしてしまいました。出来るだけ私の手を煩わせないようにとの家内の気持ちが痛い程分かりますので、文句も言わず後始末をし、風呂に入れ、洗濯もすませました。
今日は近くの森林植物園に行ってきました。拙宅から車で10分程の所です。沢山の紫陽花が咲き綺麗でした。電動車椅子を借りたのですが、電動とは言え広い植物園を回りますと汗だくになり、レストランでビールを頂きました。家内は750円のクラフトビール、私は車の運転が控えていますので、300円のノンアルコールの缶ビール?、を頂きました。