妻がパートに働きに出て何が変ったか

子供のあそび

 子供の頃にこんな経験がある。

 幼稚園に入る前、近所の同じくらいの年齢の子どもたちと遊んだが、女の子たちもいっしょだった。
 で、3,4人ほどいたその女の子たちの中でいちばん可愛い子が、世界でいちばん可愛い女の子だった。ひそかに好意をもった。

 ところが幼稚園に入ると、世界が広がり、女の子の数も多くなった。そしてその中でいちばん可愛い子が世界でいちばん可愛い女の子となった。幼稚園に入る前に好きだった近所の女の子は、それほど可愛いとは思えなくなった。というか、はっきり言うと少々ブスに見えた。

 そして小学校に入ると、さらに世界は広がり、目にふれる女の子の数も格段に増えた。トーゼンその中には、幼稚園にはいなかったような可愛い子もいる。すると幼稚園のころいちばん可愛いと思った女の子は色あせた。

 同じようなことが中学校→高校→大学でも起きた。
 自分の住む世界、目にふれる世界が広がるにつれ、女の子を評価する基準値が気軽に上がっていく。その結果、それまで100点をつけていた女の子が、たちまち80点となり、60点、50点・・・と下がっていく。

 こういうことは実はあらゆる場面でも起きる。
 人間が何かに対してする評価というのは、結局、自分が知っている範囲内で行われるからだ。

 そんなことは当たり前すぎるほど当たり前のことだけれど、わしらはえてして、自分がしている評価や判断を絶対のように思う。

 自分の考えることがどれだけ限定された世界の上に載っているかを、自覚しながら話している人はほとんどいない。要するに自分が井の中のカワズである自覚がない。大海のクジラのつもりでいる。わし自身、夫婦ゲンカや友人とする議論を振り返ってみると、ほとんどそれだ。

 酒飲み友だちのひとりが、このあいだもこんな話をしていた。
 彼の40代の息子夫婦の仲が、近ごろあまりよろしくないという。それまでは傍目にもうまくいっている夫婦だったのに。

 なんとなくギクシャクしはじめたのは、子育てが一段落して、息子の嫁がパートへ働きに出はじめてかららしい。
 妻が働きはじめたことに息子が不満なのではない。以前とくらべて家事が手抜きになったわけでもない。そういうことではなく、働きはじめてしばらくすると、妻の夫に対する態度が微妙に変化したのだという。

 どこがどう変ったのかと聞かれると困るんだけど・・・と息子は言うらしい。
 態度や言葉づかいが変ったわけではない。いや見た目にはまったくなにも変わっていない。おそらく子供たちは、母親の何かが変ったとはまるで思っていないだろう。しかし夫(友人の息子)には分かるという。妻の何かが変ったと・・・。

 どこが変ったかを強いて言葉にすれば、以前にくらべて何とはなく軽く見られているような気がするらしい。一流大学を出て名の通った大企業に勤めていることもあって、以前は夫としてあるいは男として尊敬する・・・とまでいかなくても、いちおうは一目おかれていた。その一目がなくなった。ごくふつうの当たり前の男のように見られている気がするという。

 当然いい気分はしない。ちょっとしたことでつい言葉が尖ってくる。
 すると以前にはなかったことだが、妻は真正面から反論してくるらしい。以前には多少あった遠慮がない。堂々と自己主張する。

 わしは思った。この妻は、わしが幼稚園から小学校へあがったときにしたものと同じ経験をしているのだと。触れる世界が広がって、夫あるいは男を見る目の基準が上がったのだ。

 ひと昔前までは、日本の夫は妻が外に働きに出ることを認めなかった。
 いや、女性の社会進出がふつうになった今でも、経済的に充分な余裕があるなら、妻が外に仕事をもつことを歓迎する男はそう多くないだろう。
 なぜなら、先の友人の息子の妻のような例が、当然のように起きるからだ。

 本来なら、視野を広げた妻の目にも堪えうるように、夫も自分に磨きをかければいいのだろうが、言うは易し、なかなかできるもんじゃない。
 できるくらいの男なら、外に働きに出た妻の目線の変化にいちいちアタフタしないだろう。
 どうせ外に出ても、自分と同じか、自分以下の石ころが転がっているだけなのを知っているから。
 

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妻がパートに働きに出て何が変ったか” に対して 2 件のコメントがあります

  1. むらさき より:

    わかるわ~。実は私も15年の専業主婦の後に就職いたしました。
    それまでは「うちのお父さんはエライ」と尊敬していたのが、いつの間にか「同じように仕事をしてきて、あんたはご主人様、私は家政婦か!」と思うようになった時期があるのです。
    今は、こう思っている。
    「そうよ♪私は旦那から給料もらってるやん♪私にお金をくれるのは、勤め先と旦那だけや。大事にしとこ♪」
    私が仕事を始めてからも彼は家のことは何もせず、給料は全部わたくし管理でお小遣い制ですからね(笑)

    1. Hanboke-jiji より:

      ものは思いようと言いますが、「旦那から給料もらってる」と思うのは
      なかなか賢いですね。
      家事の仕事内容からすれば、まあまあの給料額だし・・・。
      亭主がカリカリしてストレスためるより、はるかに精神衛生にいい。
      アタマいいですね。

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