年をとってから引っ越しをするとこうなる(1)
近く引っ越しをすることになった。
・・・と簡単にいうけど、あんた、それがどういうことか分かってるの!? と、老人仲間のひとりから呆れた顔をされた。
「おチョコやトックリの包装から金塊・札束の箱詰めまで、全部業者におまかせして自分は懐手して口で指図するだけ・・・というのなら分かるけど、それにはモッノスゴイ金がかかるんだよ。あんたそんな金もっていたっけ? いつも食うだけでピーピーだと言ってなかった?」と。
彼は引っ越しの経験を60代半ばでした男だけに、口調に実感がこもっていて、ぐいと胸を押されたような感じがした。
ま、実はわしだってそんなことは分かっているつもりだった。前回、いまの住居へ引越してきたのは50代前半だったが、その年齢でさえ、引っ越し作業はシベリアで強制労働をさせられるに等しい・・・と思った記憶がある。体から疲れが抜けて正常にもどるまで丸々1ヵ月かかった。
わしはいま82歳、老妻は76歳である。助けてくれる子や孫はない。札束や金塊も実はいない。80歳前後の老いぼれ夫婦と、ふたりが一生かけて溜めこんだガラクタの山がいるだけである。
こういう状況での引っ越しがどういうものになるか、ボケかけた頭でもよく分かる。が、実際にやってみたら、実はよく分かっていなかったことがよく分かった。
しかし人生には避けたくても避けられないものがある。したくなくてもしなきゃならないモノゴトというものがある。人生途上のあちこちに潜んでいて、ドー猛なウツボのように、いきなり岩穴から飛び出してきてバクッと食いつく。
今回のわしらの引っ越しも、まあそういうたぐいのものだろう。・・・なんて甘く考えていた。いい年をして・・・。
若いときなら準備は2,3日、多めにみても1週間あれば大丈夫かもしれない。だが80歳前後でふだんの生活でもよろついているわしらには、最低でも2ヵ月は必要だと踏んだ。
・・・というわけで、今回から何回かにわたって、孤立無援の老いぼれ夫婦が引っ越しをしたらどうなるか・・・を当事者による実況中継みたいにして書いてみようと思う。
(2回はこちら)
当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。
試行錯誤の上の判断でしょうもの 引っ越し・・おおいによろし!ではないでしょうか。
読み終えて私の心では(がんばれ がんばれ!)です。
ぼちぼち お仕度なさって 引っ越しの荷造り等々 楽しんでなさって下さい。
チョット羨ましいです。 この際必要限度に身の回りが片付きそう。
ほごろも様
励ましのお言葉ありがとうございます。
このあと続けて老人夫婦の引っ越し生中継を行う予定ですが、
実際にやってみると想像以上に大変で、シベリアの強制労働も
かくやありなん・・・といった感じ。
でも今更やめられません。だって家の中は足の踏み場もない
アラクレ状態ですから。
こうなったらもう、ヤケノヤンパチぎみで、この年でいったい
どこまでやれるか「限りある身のチカラ試さん・・・」の意気込みで
やるつもりですが、実際にはどうなるんでしょうかねぇ。
(半ボケじじィ)