神さんもクセもの(続き)

  前回(『神さんもクセもの』)からの続きである。
  ここまでの話が頭に入ってないと、ナンノコッチャ、となりますので、まだの方はこちらから先に読んでね。(→こちらはこちらね )。

 ところで、こうしていったんこの愉しみを味わってしまうと、それでわしのなかの毒気はかなり抜けてしまうらしい。そしてまたべつ気持ちがひょろひょろ出てくるのね。

 先ほどまでのカミさんの公然無礼たる振るまいは、悪気があってというより、持って生まれた性格である、ということへ、目をむける余裕が出てくるの。すると、ちょっとカワイソーな気もしてくる。人間の心は微妙だね。

 ・・・なんてエラソーに一般化することはないわナ。要するにわしは、短気ですぐカッとなるくせに、すぐ腰くだけにもなる人間なんだってこと。
 
 しかしここに至っては、もはやわしにできることはない。最寄り駅の発車時刻を調べたところで、それで世の中の時間がいっせいにくり下がるわけじゃない。
 そこでわしはいやおうなく、高邁なる「人生諦観の境地」に逢着する。
「ま、なるようにしかならんワ。人生、結局、それしかないんだから・・・」
 
 しかし実は、それだけで終わらないところに、この世の奥深いところがあり、神さんがクセものであると思う理由がある。
 
 前回でルル述べたように、準備段階ではハチャメチャを掻きまわしたようだったにもかかわらず、いざ玄関を出るときになると、彼女はなぜかそれなりに見られるいで立ちに化けているのである。どこかにタヌキかキツネの尻尾でも隠されていないか、と探したくなるくらい。
 
 そこがまあ、わしなどには理解不能なところで、「いったいどうなってんの?」と思わずにいられないのだが、
(ま、オレのわからんところで、チャチな魔法でも使ってんだろ)
 などと、投げやりな結論を貼りつけて、さっさと頭から切り離す。まともに付き合ってるとバカをみるだけだからね。
 
 しかし、ほんとうの神秘を見せつけられるのは、実はこの後なのだ。
 
 パーティが終わって、カミさんが帰宅してくる。
(さぞや落ちこんでるだろうな、ま、少しは慰めてやるか)
 などとホトケ心で迎えると、期待に反してカミさんはたいていニコニコと晴れやかな顔をしているのだ。わしの頭のなかを「?」が飛び交う。
「どうだった? だいぶ遅刻したんじゃないの?」
 招待してくれた友人の気分を害したんじゃないのか、といったニュアンスをにおわせた目を向けると、
「ちゃんと間に合ったわよ」
 とけろりとしている。
「ほんとか! ウソだろ?!」
 わしの頭のなかの「?」は、さらに数を増して飛びまわる。家を出た時間からいって、ホントに間に合ったとしたら、ホンモノの魔法が必要だ。
 しかしカミさんは、やり手の魔女にはほど遠い能天気な顔で、
「パーティの始まる時間が、一時間遅かったの。わたし、時間を間違えてたみたい」
 わしはアッケにとられて、しばらくは言葉も出ない。
 が、考えてみると、わがカミさんにはいかにもありそうな話で納得する。
 しかしそれにしても・・・とまた思い返す。それでも時間はぎりぎりだったはずだと。
「手みやげは、ちゃんと買えたの?」
「買わなかったわ。持っていったの。むかし買った古いお皿で、あの人が喜びそうなのが納戸の奥にあったのを思い出したのよ」
「・・・」
「すごくよろこばれたわよ。大成功!」
 派手なVポーズでもしそうな顔のカミさんを、わしはしみじみと見返している以外にない。
 
 もちろん、こういうことが一、二度あったという話なら、わしだって悩みやしない。神様だってたまにはメチャ機嫌のいいときがあり、冗談気分でこうしたお遊びだってなさるかもしれない。
 
 しかしわがカミさんのばあい、この手のパターンがやたら多いのだ。
 出かける前は、三重四重のクラッシュをひき起こして大荒れのレース展開だったのに、そのあとどこか見えない所でわしの予想不能な何かが起きて、帰ってくるときにはなぜか胸に優勝カップをかかえ、頭からシャンペンを浴びて表彰台へのぼるがごときお顔でご帰還あそばす・・・というパターン。
 
 こうした現象を何度かくり返し見せられると、そうでなくても水分を失いかけているわが脳細胞は正常な判断力を失う。
 で、けっこう本気で次のようなことを考える瞬間がある。
 
 オレの女房をやってるこの女は、計画をつかさどる体内装置を欠いていて、その意味では一種の欠陥人間だと思っていたが、じつはそんな「計画装置」など屁でもない・・・失礼しました比ではない能力、つまりわしなどには窺い知ることさえできない超ハイレベルな「特殊装置」を備えているのかもしれない。
 表面だけみてあんまりコケにしてるとマズイかもしれんぞ・・・などと。
 
 それにしても、そういう人間をわざわざ造ってこの世にバラ撒いておくなんて、いったいどういう料簡なんだろう?
 
 やっぱり神サンってクセものだ。
 

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神さんもクセもの(続き)” に対して 2 件のコメントがあります

  1. むらさき より:

    きゃ~♪
    奥様~♪
    最高~♪
    尊敬します~♪
    大好きになっちゃいました~♪

    1. Hanboke-jiji より:

      女には女しかわからん部分があるのかねえ。
      カミさんも自分のパソコンを持っていて、気が向いたらたまに
      ボケモン島へやってきて覗くことがあるらしいが、
      むらさきさんのこのコメントは読まれたくないねえ。
      もっとも、本記事に書いている光景は彼女が50代ころのもので、
      70代のいまは家庭内カーレースをやろうにもガソリン不足で
      モタモタしているから、チリやホコリもそう飛ばないんだけね。
                        (半ボケじじィ)

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