みんなちがって、みんないい

エントロピー

 うちのカミさんはきれい好きである。
 言葉を換えると、掃除と洗濯が好きである。
 もう1回言い換えると、よごれに敏感でなければ彼女のオットコドッコイ(夫を意味する高峰秀子さんの造語)は務まらない。
 
 とりわけ衣服のよごれには気をつけねばならない。・・・ということが彼女のオットコドッコイとしては重要注意事項だ。
 
 晴れてればほぼ毎朝、洗い物はないかと、洗濯するものの有無を訊かれる
 遊びざかり、ドロンコお構いなし、の少年期じゃあるまいし、毎日毎日洗濯するものが出るわけがない。毎日オモラシをするほど老年期が熟しきってもいないし・・・。

 で、きょうはあいにく何もアリマセヌと答えるが、簡単には引き下がらない。わが部屋の中をぬめっとねめまわして、何か獲物が潜んでいないか探る。

 それらしい衣類の端でものぞいていると、目ざとくみつけて引っぱりだし、これは洗わなくていいのかと尋問される。「それは洗ってからまだ一度も着ていない」と返答しても、すぐには信用しない。鼻先に持っていって匂いを嗅いでから、最終判断が下される。彼女の嗅覚はとくべつで、一度でも肌に着けたものはたちどころに嗅ぎ分ける。・・・と自称している。
 
 もう一つ、着るもので注意しなければならないのは、ホコリだ。
 ホコリは概して白いので、黒っぽい衣服を身につけているときは、とくに要注意である。
 彼女には、どんなに小さなホコリでも見つける特殊視力がある。
 衣類にホコリを付けたまま人前に出る人間は、精神のだらしなさを着て表通りを歩いているようなものだ、というのが彼女の持論だ。

 あと、食事の際に食べ物を箸から落として衣類をよごすのも、タブー。
 しかし加齢とともにこのタブ-破りはリチギに増える。気をつけていても効果はない。気をつけても加齢臭が出るのと同じ。

 で、いつの頃からかわしは、食事どきにはエプロンを首にかけるようになった。幼稚園児みたいで気に食わないが、加齢がもたらす厳たる現実のまえにやむなく武装した。
 
「衣・食」とくればあとは「住」だが、これはもうきれい好き人間のホームグラウンドだ。
 だが、こういうことを書いているとキリがないので委細は省略するが、公平を期すためにひとつだけ付け加える。
 
 上に述べたような異常なきれい好きを人生の伴侶として持つと、わしのようにきれいでなくても別に困らない男には、面倒なことが多い。
 だがモノゴトはすべてプラスとマイナスがある。つまり良い面もある。
 
 その一つが掃除や洗濯をすると、当人の機嫌がよくなることだ。
 朝起きたとき体調がすぐれず暗い顔をしているようなときでも、洗濯をしてそれを陽の光のなかに干し終わると、朝日のなかで体操したように元気になる。家の中にも朝日が差し込む。
 
 あるいは何かイヤなことが続いて落ち込んでいても、思い切って家の中の掃除をすれば、ほぼ機嫌が直る。掃除機の中にヤなことも吸い込むらしい。
 その効能は名医の処方する薬にまさる。しかも当たり外れがない。
 
 以上、やや誇張して書いたが、カミさんのこの趣味嗜好を批判しているわけではない。なにもかも放り出して、イケメン韓流男優の追っかけをされるよりいい。着るものや家のなかがキレイになるのは、基本的に悪いことじゃないしね。
 
 ともあれ、人の好み・好き嫌い・・・もっと広げていえば人の性格や生き方は、まさに百人百様、千差万別だ。他人がとやかく言っても始まらない。お互いそのまま認め合うのがいちばん。
 その意味で、性的マイノリティーであるLGBTの人たちを差別するのも、間違っていると思う。
 
 たとえばわしは、ヘビを見ると血が逆流し、体が硬直するが、ヘビをかわいいと称して家の中で飼い、1日に1回はケージから出して首に巻き、頭を撫でてやらねば落ち着かない、という人もいる。
 
 もしわしがヘビを首に巻いて寝ないからといって世間から差別されたら、わしは生きていたくない。

 ・・・なんて言いながら、しぶしぶ一日一回ヘビの頭をなでていたら、可愛くなっちゃったりして・・・。
 いや、やっぱりないねぇ、へびだけは・・・。

 

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みんなちがって、みんないい” に対して 2 件のコメントがあります

  1. むらさき より:

    この達成感(///ω///)♪
    ジジイにゃわかるまいの~(~▽~@)♪♪♪
    うちの、亭主にもわかるまい♪ヽ(´▽`)/

    1. Hanboke-jiji より:

      女のひとには分かるんだねぇ!
      蓼食う虫も好き好き・・・なんて言わなくても、
      男と女だけでこうして違うんだもんねぇ。
      これをもって面倒というか、
      面白いというか、
      人それぞれ・・・ってか。

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