命長ければ恥多し(2)

命長ければ…② 
 この前の金曜日は、よんどころのない事情があって記事をアップできず、1回抜けたが、今回は前回の記事『命長ければ恥多し』の続きである。(前回はこちら

 そのときわしは19歳だった。
 肉体的に大人になったばかりで、何も分からないまま性的煩悩に悩まされていた頃、思いがけない “すごい話”(童貞だったわしにとっては…だが)が持ち込まれた・・・というところまで前回に書いた。(前回はこちら

 その予備校で知り合った男(仮にAと呼ぶ)は、東京生まれ東京育ちだった。
 高校はけっこう名を知られた進学校だったらしいが、彼が高校時代にいちばん仲の良かった友だち(仮にBと呼ぶ)は、進学せずに就職した。(調べてみると、当時の平均的大学進学率は20%くらいだったようだ)。

 そもそもその “スゴイ話” は、その就職したBがAに持ち込んできたものである。
 
 わし、最近はあさ食べたものさえ思い出せないが、若いころの経験・・・特にこの話は、先週見た祭りのように記憶が鮮明だ。(だからこそ前回に書いたような “血の竜巻発作” が起きるのだけど・・・)

 さて、Bが就職したのは中規模の文房具卸会社で、上司の40歳くらいの中年女性から、密かにセマられて困っている・・・というのがそもそもの話の発端だった。

 密かにセマられている・・・とは性的にである。
 その中年女の上司は、バツイチで、サハラ砂漠級オトコヒデリ状態だったようで、扱いやすい新入社員のBに目をつけたらしい(想像だが・・・)。
 わしはBに会ったことはなかったけれど、Bはいわゆる男前(今でいうイケメン)だったのかもしれない。たしかそんなことをAが言ったような気もする。

 Bが入社したのは4月1日で、5月の連休にはもうその上司はコナを掛けてきたというから、その女はソートー喉が渇いているのでは・・・と、Aが笑いもしないで言ったのを思い出す。
 だが、Bにとっては、相手が直属の上司ではその気にならないということもあったらしいが、なにより社内にバレた場合のことを考えると怖気づいた。

 もちろん拒否することもできたけれど、ただ断るだけだと仕事でいやがらせをされそうだし(パワハラ、セクハラなんてコトバもない時代デス)、悩んだ末に考えついたのが、高校時代の友人Aに肩代わりさせることだった。

 Aは浪人中の身だし、どうせ受験参考書以外はエロ本相手の日々だろうから・・・とBはAに話を持ち掛けたらしい。「生の女とタダでできるよ、その上たまには高級なメシだっておごってくれるかも・・・」などと言って・・・(これもわしの想像)。
 
 ところが、Aはじつは(わしもそのとき初めて知らされたのだが)大学に合格したら結婚を前提に付き合おうとまじめに考えている彼女がいた。
 正直Bの上司の話は、Aにとっても魅力的でないことはなかったらしいけど、やっぱり彼女のことを考えると・・・というような純情かつ律儀な反応をして、お鉢をわしに回してきたのである。
 当時わしは、ふだんから「やりたいよ・・・どんな女でもいいから・・・」みたいなことをしょっちゅう言っていたからねぇ。恥ずかしい話だけど。
 
 そのくせ実はわしは、自分がまだ童貞であることをAには話ていなかった。Aも恋人がいることを黙っていたのでオアイコだけど。

 Aも、(彼女がいても)セックス経験はまだないようだった。だから話してもよかったのが、妙な見栄があって、高校時代に初体験を済ませたようなことをわしは言っていたのである。
 この年頃の若い男は、童貞がコンプレックスになり、だからかえって表向きは強がったことを言いたがるのである。
 
 だから、Aからその話を持ち掛けられたとき、本来なら渡りに船と反応をしていいのに、じつは腰が引けた。そんな海千山千(らしい)女に対して、ちゃんと一人前の男として応対できる自信がまるでなかったからだ。・・・というか、正直いうと怯えが先に立ったのである。
 で、Aにはひと晩考えさせてくれ言って即答を避けた。
 
 しかし、こんな棚からボタモチみたいなチャンスはめったに落ちてくるものではない。いや一生に一度あるかないかだろう。そんなチャンスを逃したら、きっと死ぬまで後悔するぞ・・・と思う気持ちも強かった。

 それに、どんな理由を付けるにしても、いつも強気なことを言っているわしが断るのは、いかにも不自然だった。スジが通らない。
 
 ・・・などという理屈はともかく、まあ何よりもその頃の性への好奇心と欲望は、今では信じがたいほど強かった。この話を断るのは、死ぬ思いで準備して合格した志望大学を、入学せずに辞退するに等しかった。
 
 だが一方でやはり怯えが前に立ちはだかった。
 もしAの話をOKするなら、すぐにも生身の女の前に一糸まとわぬ姿で立たねばならない。おそらく向こうだって一糸まとわぬ裸だろう。男として何かしなければならない。何をすればいいのか!?
 ・・・と思うとビビッた。実際、ロケット花火で遊んだことしかないのに、いきなり本物の月ロケットに乗れと言われたように思えた。
 
 で、ひと晩テンテン反則して煩悶し、寝ずに考えた末、結局、高山に挑戦する大決心をしたのである。

 どうせ人間だれでもやっていることだ。自分だってその結果生まれてきたのではないか。あの程度の親にできることがわしにできないはずはない・・・などと訳のわからないことを根拠に、われとわが身に檄を飛ばして決意したのである。

 Aに、話を受けると告げたあと、念願だった童貞脱出がついに手の上に乗った歓びと同時に、宇宙の闇へ乗り出す・・・ほどでないにしても、夜の闇に一糸まとわぬ姿で歩き出す思いがして、怖気で足が震えた。いや初陣の武者震いをした。
 
 (今回もだいぶ長くなったので、続きは次回。次回はこちらから)

 

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