脳梗塞の急襲!(その4)
今回はちょっと趣向を変えて、入院生活のあれこれを書いてみる。
(『脳梗塞の急襲!』その①、②、③ はこちら)
病気なって入院を余儀なくされた者にとっては、入院生活は刑務所に近い。
病気を治そうと、病人のため精いっぱい努力してくれている病院関係者には申し訳ない話だが、入院している者の心理的実感としては、正直にいうと、多かれ少なかれそれに似た気持ちを持つのではないかと思う。
まず狭い一空間に閉じこめられている。その空間から勝手に出て、自由に歩き回ることは基本的に許されない。
また、自分の病気のせいでもあるが、あれをしてはいけない、これをしてはいけないというものも多い。
たとえば脳梗塞の患者だったわしは、ベッドから立ち上がることは厳禁だった。
立って一歩でもベッドから離れたりすれば、それを目にした看護師からたちまち鋭い注意の声が飛んでくる。
ひそかに独房を抜け出した囚人が、監視塔から容赦なく銃撃されるのに似ている。
脳梗塞患者は、かなりよくなってからでも、本人が自覚するよりはるかに足が弱くなっている。ちょっとしたことですぐ転ぶ。転べば手脚を折ったり頭を打ったりして、大ごとになる危険性がある。監視塔の警告には正統な理由があるのだ。
ベッドには周りに柵が取りつけられているが、一ヵ所だけ取り外されている。
そこからベッドに上り降りするのだが、その部分の床の上には、玄関マットに似た敷き物が置かれている。
一見、足ふき用靴ふき用を装っているが、それは偽装である。この敷物の本来の目的は別にある。
いうなら監視カメラのようなセンサーなのだ。
わがままな患者が、看護師の目を盗んでひそかにベッドから降りたり離れたりしようとすると、まずその敷き物の上に足を乗せざるをえない。すると敷物に仕掛けられたセンサーが働いて、ナースステーションに通報がいき、看護師が怖い顔して飛んでくる。
最初わしは、その敷き物の仕掛けが分からなかった。ひそかにベッドから降りようとすると、なぜすぐ看護師が飛んでくるのか不思議だった。
どこか天井のわからない所に隠しカメラが仕掛けてあるのかと思ったが、仕掛けは天井ではなく足の裏にあったとは・・・。
患者の勝手なふるまいで起きる転倒防止のための、病院側のこのような周到な配慮にもかかわらず、実をいうとわしは2度も、大ごとにはならなかったが転倒した。
我が強いのにプラスしてオッチョコチョイのケのあるわしは、これぐらい大丈夫だろうと思って勝手に動き、1度は車いすの車輪に爪先をひっかけて、もう1回は不用意に立ち上がったら思いがけず足に力が入らなくて、転んだ。
以来、退院するまで看護師から言われつづけた。
「○○さんは、前科2犯だからねぇ」
ね、やっぱり、刑務所でしょ。
当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。
ですよね~。
そう思いますよ。
けどね、病院に居て骨を折ったり、新しく病気になるというのは変でしょ?
なので、神経質になるんだわ~(((^^;)
病院は居心地の良いところではないですよ。早く退院したいと思うのが当たり前で、またそう思って頑張ってほしいのです(///ω///)♪
そういえば確かむらさきさんはこの道のプロでしたね。
わしの文章はいつもやや誇張ぎみに書くからああいう
表現になったけど、看護師さんたちの仕事はものすごく
大変で、若いのによく我慢して頑張っているなぁと感心して
見てました。エッセンシャルワーカーと言われて尊敬され
るのは当然だと・・。
次回の記事はその実情がもっとよくわかります。
現実を受け入れるしかないよね。そして少しずつでも良くなることを期待して(実際少しずつ快方に向かっていると思います)リハビリを頑張るしかないよね。当たり前の気の利かないコメントで申し訳ありません。私の暖かい手で奥様とお二人の手を包んであげます。お二人の背中を優しく撫でてあげます。どうぞこの暖かさがお二人に届きますように。
kanae様
温かい肉親にもまさるコメントありがとうございます。
私たちには子供がおりませんので、ことのほか嬉しいです。
世の中にはさまざまな人々がさまざまに生きていて、それぞれが
それぞれの環境の中で懸命に生きていているのですよねえ。
それを感じるとそこはかとなく励まされ勇気を与えられます。