年の初めに

年の初め

 年末年始は家の中だった。
 
 首相も、知事も、去年の暮れから、ほとんど牙をむき出さんばかりにして(泣きだしそうにも見えたが)、「絶対的に必要でない限り外出はしないで下さい」とテレビでくり返していたし、言われなくても当方は年の初めから寒風の中へ飛び出すほど獰猛じゃない、子供じゃないんだから・・・って、子供だって今はそんなことはしない。”子供は風の子” などと言われたのは昔の話。
 
 思い出したが、かつて読んだ大正期の小説のなかで、老舗大店の主人が古希をこえた年齢でありながら、顧客への年始回りと称して、しかるべき場所に囲ってある若い女のところへいそいそと出かけていく場面の描写があり、しっとりとしたいい味を出していた。
 
 今昔の感は深い。(・・・ってべつに妾宅を持ちたいわけじゃないヨ)
 ちなみに、今はどこにいてもスマホに追っかけられる。ヘタをするとGPSで居場所を知られるし、うっかり消し忘れた発信履歴が証拠となって、首根っこを押さえこまれることだってある。

 世の中の何もかもが合理的で、効率的で、スマートで、底が浅い。
 箸の先で押してみると思いがけず厚みがあり、下からじわじわと香りのいいダシ汁が出てくる・・・といった味わいがない。
 
 新年もその一つ。
 つまり今どきの新年は味がない。めでたいという感覚もない。
 
 俗に「一富士二鷹三茄子(イチフジニタカサンナスビ)」という。
 初夢でこれらのモノを見るとめでたい、その年はいいことがあるランキングのベスト3・・・ということらしい。

 これらのどこがめでたいのかというと、「富士」は日本一の山で、「鷹」は百鳥の王で、「茄子」は “す” や “成す” に通じ、子がたくさん生まれて子々孫々発展する・・・というんだけど、老トルとはいえVR・AI時代に息をしているわしにはピンとこない。
 
 この “初夢ランキング” には実は続きがある。
「四扇五煙草六座頭(シセンゴタバコロクザトウ)」と続くのだが、ますますどこがめでたいのか分からない。

 改まった場所に出るとき扇子を手にする習慣はとっくの昔に消えてるし、暑いとき顔に風を送るのには、近ごろは手持ちの小型扇風機が新顔としてのしてきている。
 煙草などは、めでたいどころか今や健康の敵、悪の代表的あつかいだ。
 視覚障害者を「座頭」などと呼ぶ人間は、時代モノ映画の中にしかいない。
 
 要するに、世の中はもの凄いスピードで変化している。
 変化の実体からいえば、江戸時代の1年は現代の1日か。
 しかも日々そのスピードを増している。
 いったいこの先、世界はどう変わっていくのだろう。

 それをこの目で見てみたい。
 ・・・というか、実をいうとそれぐらいしか生きている楽しみはない。
 だがそのためには、目も頭も健康であることが先決だ。
 
 で、結局、わしにとっての「初夢ランキング第1位」は健康。
 
 ・・・なんて、年の初めから極めつきの平凡話になっちゃった。

 

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当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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年の初めに” に対して 2 件のコメントがあります

  1. むらさき より:

    明けましておめでとうございます(///ω///)♪
    今年もよろしくお願いします♪
    じいの面白い話し大好きだわよ(^o^)v

    1. Hanboke-jiji より:

      明けましておめでとうございます。
      ・・・ってわしの年になると、この言葉言うの、なんとなく気持ちが
      微妙なんだよね。
      実態としては、死に一歩近づいておめでとうございます、
      と言ってるようなもんだからサ。
      だからこそ、むらさきさんの最後の行のようなコメントを戴くと、
      よ~し、もー少し老体にムチ打ってガンバッテみるか・・・
      って元気が出る。
      サンキュー。よろしくね。

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