なわ跳びじゃ飛べない
「脳梗塞」関連の話がだいぶ続いた。
いい加減飽きたよね。
そろそろやめよう。わしも飽きた。
それで思い出した。前ぶれもなくとつぜん脳梗塞がやってくる前に、このブログ用のストック原稿を2,3本書いてあったのを・・・。
探してみたらあった。で、ざっと読んでみた。
驚いたね。ずいぶん違うんだ、文章の雰囲気が、脳梗塞の前と後では・・・。
人間ってヤワイもんだね。何かがちょっと起きると、けっこう人が変わってしまうんだよね。まあ人間一般に広げることじゃなく、わしひとりの問題かもしれないんだけどサ。
それが何となく面白いので、以下に脳梗塞直前に書いたヤツをそのまま変えずに次に載せてみる。
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改めて言うほどのことじゃないけど、老人になることにメリットはあまりない。(当たりメーだ、だから改めて言うほどのことじゃないって、書いといただろ)
ともあれ “老人資格” に不足のないわしが言うんだから、間違いない。
で、その「老人」に「寝たきり」というのをくっつけると、もはや文句なしに完全無欠の「有害老人」以外の何モノでもなくなる。
当人もつらいし、周辺にいる家族もつらい。
だから老人と老人の家族がいちばん忌み嫌うのは、年寄りが「寝たきり」になることだ。
わしも老人のはしくれ、寝たきりを嫌悪すること人後に落ちない。
で、そのために・・・つまり寝たきりにならないために、お前さん何かしているかい?
・・・って問うのかい? 問われれば答えるよ、一応してる、って。
だが正直なところ、し足りない感が常にある。背中のカユイところに微妙に指先が届かない感じ・・・。
で、常日頃から、カユイところを不足なく掻きたいと思っていたら、あるテレビ番組が、老人が手軽にできる「寝たきり防止用運動」として、なわ跳びを推奨していた。ふつう子供がやる遊び。
ときおりやはりテレビで見るが、いい年をした爺さんが、ジムのトレーニングマシンにしがみ付いて顔をゆがめながら必死に格闘しているのを目にすることがある。気持ちはわかるが、ああいうのにはわしの心は動かない。
しかし相手が機械ではなく “縄” だと言われると、わしの心は動いた。
早い話、ジムに通う必要はない。縄ッ切れ1本あればできる。マンションのベランダだってOKだ。これならわしでもやれる。
よっしゃ、やろう、なわ跳び、とわしは思った。
が、テレビが消えたらすぐ忘れてしまった。老人の健忘症は元気なんだ。
それでも先日、百均ショップに行ったときに、「なわ跳び用の縄」が棚に置いてあるのを見て思い出した、そういえばこの縄、寝たきり予防用にいいんだったなと・・・。
で、よく考えもしないでそのまま買い物カゴに放り込んだ。こういう買い方をするから、百均ではすぐ買い物カゴが山盛りになる。店の狙い通り。
ところがそのまままた忘れてしまった。家に帰ってどっこかの引き出しに放り込んだまま、そのままになったのである。
それから数ヵ月経って、再発見した。なにかを探していたら向こうから出てきたのだ。そういえばコイツで寝たきり「老化防止運動」をするつもりだったんだ、というのを思い出した。
やろう。今やらなければこの縄跳び用の縄は、永遠に縄跳びしないまま終る。人間が人間しないまま人間を終えるようなもんだ。気になる。
で、すぐにベランダに出てやり始めた。
すると思っていなかった事態が生じた。なにせ100均で買った安物だ。ビニール製のゴワゴワした感じの紐で、あまり縄跳びに適さない。跳んでいるとすぐ足首に絡む。2,3歩跳んだら足にひっかけて止り、2,3歩跳んだらまたひっかける。跳んでる時より足にひっかけている時のほうが長い。縄だって面白くないかもしれないが、肝心のわしが面白くない。何よりこれじゃあんまり運動にならんのじゃないか。寝たきり予防なんてとんでもない、と思ってやめてしまった。
考えてみれば、こういう生き方をしているから、人生の底が浅くなるのだ。大きな仕事などできるわけがない。いまさら気づいても遅いんだけどサ・・・。
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・・・というのが脳梗塞前に書いてた文章だったのだが、みるからに甘い。
書いている内容もだが、その基になる生き方が甘い。安モノの砂糖づけにしたキューリみたいで、シャキッとしたところがどこにもない。
こんな生き方をしている人間を天から見たらそりゃあ顔をしかめる。こいつにはちょっとお灸をすえてやらなきゃダメだな、と思ったとしても文句は言えない。
で、お灸をすえてもらってて、ちょっとシャキッとしたことはしたんだが、慣れてきて後遺症も少しずつなくなると、だんだん元に戻りそうな気配を感じる。
結局、ダメなやつはダメなのかねぇ。
当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。