ああ、老いの不様!

つぶれた蛙

 ほぼ一年前、寝起きの立ちくらみで転倒して首の骨を折り、病院に運び込まれて、あまりの痛さに手術までの1週間、死にたい死にたいと思い続けていた記憶がまだ生々しいのに、またも転んでしまった。それもかなり激しく・・・。
 
 そのとき歩道を歩いていた。
 歩道は車道に接していて、車道の反対側へ移りたかったのだが、横断できる信号が近くになかった。
 車道はそんなに幅が広くなかったけれど、けっこう車の通りが激しく、ほとんど途切れることがない。

 で、しばらく様子を見ていて、車の流れが途切れるのを待った。
 3,4分待って、ようやく少し途切れたので、今だ!ッ、とばかり歩道から車道へ飛び出した。
 ・・・つもりだったが、足元に5,6センチほどのコンクリートの出っ張りがあって、それに気づかず足元をとられ、勢いよく前のめりに倒れた。
 
 路面に激しく顔面を打ちつけた感じがあって、顔中に火花が散った。
 痛みは感じなかったが、ただその瞬間、アッ、またやってしまったッ! という絶望的に気持ちが脳内に散った。
 が、早く立ち上がらなければ車がくる。轢かれる。
 必死の思いで手足に力を入れると、立ち上がれて、急いで歩道に戻った。
 周辺の人たちが立ち止まってこちらを見ていた。
 が、倒れてもすぐ立ち上がったし、大した怪我もしていなさそうだったからだろう、声をかけることもなくまた散っていった。
 
 たしかに今回は運が良かった。
 前回以上に激しい勢いで倒れて、コンクリートの路面に顔を打ちつけたのに、首の骨も、他のどこかの骨も折れたようではなく、顔面が大きく傷ついた感じもなかった。
 倒れたのが前向きで(前回は後ろ向きだった)、両手が空いていたので、瞬間的に顔の前で両手をついて支え、顔をかばえたようだった。
 わずかに右手が痛かったし、口の中が何かおかしいので調べてみると、上の入れ歯(総入れ歯)が真っ二つに割れていて、べっとり血が付いていた。
 ある意味では、入れ歯が身代わりになって救ってくれたのかもしれない。
 
 わしの年齢(あと2ヵ月で88歳)であれだけ激しくコンクリート上に倒れれば、たいてい脚か腕の骨を折るのだが、それがなかったのは本当に今回は運が良かった・・・と言う以外にない。
 
 時間とともに唇とその周辺、口の中が痛くなり、腫れてくる感じがあったし、鏡を見ると鼻の頭に小さな傷痕が付いていて赤くなっていた。また2,3日後に、口の中の粘膜に口内炎が幾つかできて、痛んだ。だがその程度で済んだのだった。
 
 ともあれ、生きものの宿命とはいえ、年を取るというのは厄介なことだ。
 これから先もこのような出来事は、年を加えるとともに頻度を増して起きることであろう。
 わし自身は、いつそのまま人生を終えてもいいのだけれど、わしより6歳若くて身体は健康だが認知症でひとりでの日常生活ができなくなったカミさんがいるので、それもままならない。
 
 それにしても、今振り返ってみると、叩きつけられた蛙のように路上に伸びて、道ゆく人に振り返って見られたあのときの自分の姿は、 まさにタイトル通りである。
 つまり “老いの不様”。
 年は取りたくない。
 と言ってもしょうがないけれど・・・。

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当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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