“アウト老”

「マイブーム」「ゆるキャラ」「いやげもの(貰った人が嫌がる土産物)」などの流行語の生んだみうらじゅん氏(67歳)が、古希が近くなって、新たな造語「アウト老」を提唱しているという。(朝日新聞5月10日夕刊報道)
「アウト老」とは、文字どおり「アウトローな老人」のこことだ。つまり「はみ出し老人」。わし風に解釈すれば「老人らしくない老人」と言えようか。
「老いる」という現象はすべての生きものの宿命だ。誰にも避けられない。
だから、悩んでも考えてもどうにもならない。
むしろ真剣に悩んだり考えたりするのは、老いの「思うつぼ」だ、とみうらじゅん氏は言う。
ではどうするか。
「考えてもしょうがないのなら、逆手を出る。
しょうがないことには、しょうもないことをぶつけるのが一番」
・・・というのがみうら氏の主張。
例えばそのひとつとして、若づくりならぬ「老けづくり」をしようと提唱する。
若づくりしてもどうせバレるのだから、逆に実年齢より老けて見える装いをする。
また、年齢を重ねると煩わしくなる性についても、一言ある。
「年取ったらエロに飽きるのが自然というなら、こっちは不自然でいく。『レッツゴー・エロ!』だ」と。
こういうことを言うと、日本人はすぐ不真面目だと眉を顰める。
が、みうら氏は、「真面目・不真面目と決めてる段階ですでに真面目。真面目って、病気」・・・と力をこめる。
たしかに日本人は真面目すぎる・・・とわしも思う。
真面目なのは基本的には悪いことではない。が、「過ぎる」のは良くない。
自由を奪い、余裕を失わせ、豊かさを取り上げる。結果として人生を狭く浅くし、つまらなくする。
とりわけ年を取れば、黙っていてもどんどん自由を奪われていくのだ。
わし自身のここ数年をふり返ってみても、一目瞭然だ。生活が小さくミミッチクなった。生きていても面白くない。みじめになる一方。
「老後に真面目は要らない」とみうら氏も言う。
では “真面目という病” を遠ざけるにはどうすればいいのか?
自分の中の真面目を客観視し、笑えるようになること。
ふざけていく。ボケ役になる。それが大切だ、とみうら氏は述べる。
・・・というわけで、
「年を取ったら “アウト老” になろう」
と言うみうらじゅん氏の提唱に、わしも賛成だ。
「老年」が用意して待っている “老いのつぼ” に、何の手もなくはまり込んでしまうのはシャクだ。ささやかながらでも抵抗したい。
・・・と言いながら、その舌の根もかわかぬうちに何だが、わざわざ “老けづくり” をするのも、“レッツゴー・エロ!” に首を突っ込むのも、何となく気が進まない。
そういう気力というか、エネルギーがすでにない。枯渇している。
みうら氏は67歳、わしはあと2ヵ月で88歳。
この年齢で20歳の差は大きい。
もはや、“老いのつぼ” の中にいる方が、気楽でいいような気がする。
語るに落ちる・・・だけどね。
当ブログは週1回の更新(金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。