靴が鳴る

靴が鳴る

 前回、“老いのツボ”にはまらいようするには、“真面目という病” を遠ざければよい。
 そのためには自分の中の真面目を客観視して笑い飛ばせ・・・という、みうらじゅん氏の提言を紹介した。
 今回はいわばその実践編なので、面倒でも前回にちょっと目を通しておいて頂ければ話が分かりやすい。(前回『アウト老』はこちらから)

 何度も書いているが、わしらはできるだけ毎日、カミさんの手を引っぱってスーパーへ買い物に出かける。
 こんなに老いさらばえていても、食べないわけにはいかないし、何より寝たきりにならないために、運動が必要だからだ。この頃はその両方ともかなりメンドー臭いんだけど・・・。

 道のりは、元気な人の足なら片道15分~20分ていどの距離だ。
 しかしわしらは往復で1時間半近くかかる。
 なにしろ当方の歩きは大股でサッソー・・・というわけにはいかないからねぇ。
 行きはヨイヨイ帰りはコワイ・・・じゃないけど、行きはまだよいが、帰りは荷物があるし、疲れてもくる、ハラもへってくるしで、まあヨタヨタした足どりになる。ゆえに毎回それくらいかかる。
 
 この時間、けっこう退屈だ。
 で、道端の雑草にも劣る駄ベリングをするが、これだってそのうち話が尽きる。
 そんなとき、ふいにカミさんが童謡を唄いだすときがある。
 
 不思議なもので、現在は3秒前のことはすっかり忘れてしまうのに、子供のときに覚えた童謡の歌詞は、弁当の隅の米つぶを拾うように細かく出てくる。
 
 先日はどういう風の吹きまわしか、突然、
 
 ♪ おてて つないで 野道をゆけば ・・・・
 
 という、わしらの年齢の者なら誰でも知っている童謡『靴が鳴る』を唄い出した。
 ちなみにこの童謡はそのあとこう続く。
 
 ♪ みんな可愛い 小鳥になって
   歌をうたえば 靴が鳴る
   晴れたみ空に 靴が鳴る ・・・・

 それを聞いてわしは、子供の頃この歌を、
 
 ♪ おてテンプラ つないデコポン 裏道をゆけば ・・・・

 などと作り替えて唄っていたことを思い出した。
 で、カミさんのあとに続けてその替え歌を唄い出したのだが、一行目のあとがすっかり忘れていて出てこない。
 そのときふと、前回に書いたみうらじゅん氏の言葉を思い出した。
「老いのツボにはまらないためには、自分の老いを笑い飛ばせ!」

 そこで、その線で「靴が鳴る」のつづきを即興で作り替えて唄った。

 ♪ おてテンプラ つないデコポン 裏道をゆけば
   みんな呆けて 老いぼれになって
   よろけて歩けば 腹が鳴る
   しなびた体に 腹が鳴る

 するとけっこうカミさんに受けて、笑ってくれた。
 で、一時の退屈しのぎになった。
 ・・・・というお粗末の一席デシタ。
 デコポン・・・・。
 

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