手作りの小さなベンチ -あこがれの老夫婦(2)-

小さなベンチ

(前回、90歳近い仲のよい穏やかな老夫婦と、彼らの住む古い家のことを書いた。
 今回はその続きである。ごく短いので前回の記事にざっと目を通して戴ければ・・・と思う。(参照はこちらから)

 さてこの家は、住宅地にはめずらしい長い石段を上ぼったところにある。
 そこに、幅1メートルくらいの小さな木のベンチが置かれている。
 造りも、ペンキの塗り方も素人の手作り歴然だが、わしらのような老人には、本革張りの高級ソファーにもましてうれしい。

 そもそも住宅地にある長い坂や石段は、老人には天敵みたいなものだ。
 だがときに何かの気まぐれで、その天敵に挑んでみたいという敵ガイ心というか、ピンぼけたプライドみたいなものが頭をもたげるときがある。
 この家の前におかれた小さなベンチは、そんなとき、そういう身の程知らずのアホな老人には天国の椅子になる。
 
 このベンチは、じつは体のひと休みだけではなく、心のひと休みも提供してくれる。
 ときおり季節の花々が器に入れられて、ベンチの上におかれているのだ。

 花はおそらく庭で摘んだものだろうが、器はいわゆる花びんではない。用を終えた土びんとかやかん、あるいは小さい草花には急須やマグカップなどが使われる。挿されているものが雑草・野草に類するものが多いので、ほんものの花びんより相性がいい。手作りのベンチにも似合う。かわいい小瓶にスミレが一輪挿されて置かれていたときは、0歳児の赤ちゃんがすわって微笑んでいるように見えた。
 
 体や心を慰めてくれるだけでない。このベンチはごくたまに(1年に数回ほどだが)、胃袋まで慰めてくれる。
 これもおそらく庭で採れたものだろうけれど、オオバやフキノトウ、ユズや柿などが籠に入れられて置いてある。
「よかったら、どうぞ」
 と書かれた紙片が、風に飛ばされないように添えられて・・・。
 
 この家のまえを通るとき、いつも思う。
 ここのカップルはわしらより10歳ほど年上のようだが、彼ら老夫婦のように余生を過ごせればいいなァ~と。
 そしてそのあとでいつも自分に言う。
 ローマは一日にして成らず。今からじゃ遅いワィ・・・と。
 たしかになァ~。

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