1日24時間で生活する方法

小鳥の囀り

 アーノルド・ペネットというイギリスの作家が『1日24時間で生活する方法』という本を書いて、当時評判になったという。今から100年あまり前のことだ。

 泣こうが喚こうが、逆立ちしようがトンボ返りを打とうが、1日24時間は1秒たりとも増えも減りもしない。人間のメタボ腹とは違うからネ。

 にもかかわらず、『1日24時間で生活する方法』なんて人を喰ったタイトルの本が出て、しかも大いに売れたというから、いかに「1日が24時間じゃ足りない」と思っていたかを、100年も前から人間はすでに感じていたのだろう。
 
 100年前というと、産業革命による社会の大変革が広く行き渡って、近代資本主義経済がひとびとの生活をおおい始めた頃である。
 大多数の人間は時間に追いまくられて、すでにヒーヒー言いながら日々を暮らしていたのだろう。
 
 ところが、それらからさらに100年~150年ほども逆のぼる産業革命以前では、大方の人間は(とくに庶民は)、日が暮れると寝て夜が明けると起きるという、ピーチクパーチク小鳥と同じような生活をしていた。
 その時代まで人間は、時間が足りないの何のと嘆くことはなかっただろう。
 
 現代の人間は、時間の足りなさを嘆くだけでは済まない。時間に追われて心身を締めつけられ、ストレスを溜めこんで苦しみ、ときには身体を壊すような生活をしている。場合によて追い詰められて自殺までする。

 とりわけ最近は、「生産性」や「タイパ」は社会の重要概念だ。
 
 定年になって仕事から解放された老人でさえ、身体に染みついてしまったそれまでのそういう習慣から抜け出せない。
『老後を豊かに暮らす心得』とか、『定年後を無益な時間にしないための七つの戒め』とかいった本を買い込んで読み、「心得」や「戒め」に死ぬまで首を絞められながら生活している。
 
 アホじゃないかとわしは時々思っていた。
 それでいてわし自身、その手の本を買い込んで影響されていたアホな老人のひとりだった。
 
 ところが最近(2022年6月)『限りある時間の使い方』という本が出た。
 新聞の書評で知って読み、コレだと膝を打った。
 
 この本の言っていることを要約すると、次のひと言に尽きる。
 
「よりよく生きる、より豊かに生きる、より効率的に生きる・・・などという考えは頭から捨てろ!!」である。

 なぜなら、1日は24時間しかないのに、大方のふつうの人間は、土台、そんな(豊かで効率的な)生き方など出来やしないからだ。
 はじめから不可能な幻想を目の前にぶら下げて、それに振り回されて苦しむだけだ。
 ましてや、精神も肉体も衰えている老人は・・・。
 
 まさにわしが最近どこかで実感していることだった。
 出来ないことをしようとしてあくせくするなんて愚のコッチョーだ。
 
 しかも日々死に近づいている身だ。明日死ぬかも知れないのだ。
 
 だからこそ残り少ない時間を充実させて・・・なんて考えない。
 
 それがアホに陥る元凶!
 
 老人の賢明な生き方は、目の前にある現実をあるがままに受け入れて、できることだけをやっていればそれで上等! と満足すべきだ。
 
 今の自分にできる楽しみを目の前の現実のなかに見つけて、一瞬一瞬を楽しんで生きる。
 
 ・・・なんて、それってただ逃げてるだけではないの?
 
 ほらほら、またアホを始めてる・・・。
  

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