一日中立っているのは案山子だけではない

  前回、銀行のロビーで待たされている間に、店内をシサイに観察して(…って退屈しのぎに見てただけだけど)、「銀行は老人のゲームセンターである」とカッパした。(河童じゃないヨ、喝破)(→前回はこちら

 そのとき同時に別のことにも目が行った。

 銀行の支店のフロアには、どこでもたいてい案内係がいるよね。
 小さな店では1人か2人、大きな店では4、5人いるところもある。

 うち1人はたいてい入り口辺りにいて、入って来る客に「何しに来た!」などとは言わない。にこやかな笑顔をむけて「いらっしゃいませ」と挨拶する。もちろん接客用のつくり笑顔だが、ベテランになればそれを感じさせない。

 そうして客の気持ちをほぐしておいて、どういう用事で来店したかを訊ね、その内容に応じて、どの窓口へ行って何をするかを案内する。込み入った手続きが必要なばあいは、別の同僚に取り次いであとを任せる。
 
 ときに店のなかでうろうろして、明らかに戸惑っている客もいる。
 そういうのはお察しのとおりたいてい老人だ。さりげなく近づいて手助けする。

 大ざっぱにいって、こういったことをするのが案内係の仕事だ。

 ・・・かどうか本当のところは知らない。
 上に述べたような仕事はじつは表面的なカムフラージュであって、本当はより重要な任務をかくし持っているのかもしれない。
 ・・・ってなことはまあないか。スパイ小説の読みすぎ。
 そもそもわしは銀行とは縁のうすい人生を送ってきたから、大手バンクの内幕など知るわけがない。
 
 ともあれそんなわしでも確かだと言えることが1つある。それは彼らが一日中立ちっぱなしで仕事をしているといういこと。
 
 他の同僚の多くはカウンターの内側で椅子にすわって仕事をしている。
 なのに案内係は、一日じゅう(休憩時以外は)腰を下ろすということがない。中には中年の女性で大きなお尻と胴体を所持している人もいるが、しんどいだろうと同情する。
 
 だがお客がいるときはまだよい。仕事で気がまぎれる。辛いのはお客がいないときだと思う。
 前回に書いたように、ATMやインターネット・バンキングの発達で、今は窓口に行く必要が激減している。ときに突然お客が途切れて、フロアに1人も客がいなくなるときがある。
 
 そういうとき案内係は何をしているか。
 壁ぎわとか案内板とかの前に立っているだけである。
 女性案内係など、体のまえで手を重ねて礼儀正しく静かに立っている。葬儀社の社員のように。
 
 それにしても、何もせずにただ立っているだけ、いうのは世に数ある仕事のなかでも、かなり辛いほうの仕事だと思う。
 
 そういうとき彼らは何を考えているのだろうか・・・とわしはつい思ってしまう。
 すわって仕事をしている同僚たちを見て、
(あいつらはラクでいいなあ。・・・去年上司にお歳暮を送るさい、ケチったのがひびいたのかなァ)
 なんて考えてるのか。
 
 あるいは既婚の女性店員など、
(きょうは金曜日だわ。金曜日の夜はダンナが求めてくることが多いから、今晩はウナギのカバ焼き張りこもうかしら。国産は高いから中国製でいいわネ」
 などと考えて、口元がにやけてくるのをけんめいに抑えているのかしら。
 
 それはね、品性下劣なお前さんだから考えることデス。
 

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