大物の猫

大物の猫

 犬や猫の映像を見るのは楽しい。

 昨今はだれでもスマホで簡単に動画が撮れるので、さまざまな犬や猫のカワイイ動画やドジヘマ動画がテレビで放映される。

 ふつうではちょっと考えられないような “芸” をする犬・猫だって珍しくない。(飼い主が自慢したいんだろうねぇ。犬猫にとっちゃ迷惑だけど・・・)

 そういう動画を世界中から集めてきて、長時間番組に仕立てて放送する番組も近ごろはけっこう多い。
 
 先だって、こんな猫の動画をみた。
 最近どんどん派手になっている映像が多い中で、それは極めて地味な内容のものだったのだが、なぜかわしの心に残った。
 
 (ある家に)2匹の猫が飼われている。ごくふつうのキジトラの猫で、体つきが似ていたから兄弟かもしれない。

 食事時間に飼い主が、猫用の食器2つにそれぞれキャッツフードを入れて、4,50センチほど離して床の上に並べて置いた。
 
 猫たちはそれぞれの器で食べ始めたが、しばらくすると2匹のうち1匹の猫(A)が、まだ半分ちかく残っている自分の器から離れて、隣の猫(B)の器の所へ行き、むりやり顔を突っ込んで食べ始めた。・・・だけではない、食べながら体を寄せていって、猫(B)を押しのけてしまった。
 
 押しのけられた(B)は、それで怒ったり争ったりする様子はまるでなかった。近くに静かに座っていて、ときおり後ろ足で耳のうしろを掻いたり、脚の付け根やお腹辺りをなめたりしていている。
 
 やがて猫(A)は猫(B)の器のフードをすべて食べ終わり、アイサツもなくそのままどこかに行ってしまった。
 そこで初めて猫(B)は自分の器に戻ったが、中は空なので、隣の(A)の器へ行き、(A)が食べ残していったフードを食べた。
 
 この動画を見て、わしは感動した。
 何というエライ猫かと。

 生きものが食べものにこだわるのは自然で、どんな動物にも付きものの “縄張り争い” も、自分もしくは自己グループの食糧確保のためだ。

 ヒト以外の動物では、家族同士の間でさえ、自分が獲得した食べものを他の個体へ分け与える行動はしないという。子育て期は別として。
 つい先日もテレビで見たが、自分が手にしている食べものを、欲しがる自身の子どもにさえ頑として分け与えないチンパンジーの映像が記録されていた。
 
 だが先にもちょっと触れたように、生きものが食べものにこだわるのは当然だ。
 突き詰めれば命の、ひいては種の存続に係わる問題だから。

 その意味では、食べものへの拘りは生きるうえに必須の事柄であり、すべての生きものに与えられた “自我” の根幹を成すものである。

 ただ自我は、社会生活をする人間には問題を生じる。
 1人の自我は必ず他の自我とバッティングするからだ。

 そこで人間社会では、行き過ぎた自我はエゴイズムとして批判される。
 しかし自我を完全に捨て去ると生きていけないので、できるだけ抑えることが推奨される。
 
 その結果として人間社会では、抑えられた自我の量は人格の高さに比例する。自我をコントロールできる人ほど、人格や品格をそなえた人物として高く評価される。

 だが現実問題として、自我の制御は人間にとって最高の難問だ。
 高学歴で社会での経験も豊富なリーダーたち・・・政界、官界、経済界、学界、教育界等のリーダーたちの中にどれだけ人格者がいるか、を思うだけでそれはよくわかる。
 
 それだけにわしは先の猫に感動したのである。
 仲間に横暴・卑劣としか言いようのない形で食べものを奪われながらも、対立・対抗することなくあのような対応ができるのは、人間だったらおそらく万に1人くらいのものだろう。
 もっとも、相手に圧倒的な力(腕力、金力、権力など)がある場合には、必死に(卑屈に)歯を食いしばってガマンする人間も多いけどね。
 
 この猫の動画でもうひとつ面白かったのは、横暴猫(A)は仲間の猫の餌を横取りするためにいったん自分の食餌場を離れたが、その際自分の食器に残してきた食べもののことをすっかり忘れてしまったことだ。
 
 猫を笑えない。
 つい最近までどっかの国のトップにいた人間(A)も同じようなことをやっていた。

 ひそかに横暴・卑劣をやり、逃げ切ったつもりでいたら、国民の信頼を失ってコロナ禍で失敗し、支持率も激減した。
 そのストレスからだろう、健康まで崩してトップの座も失った。
 
 その意味では神サンは公平だ。
 ケモノもニンゲンも区別をしない。
 

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