匕首を突きつけられて(上)
「ランサムウェア」という言葉を聞いたことありマスか?
このウェア、最近流行しているので、どこかで聞いたことがあると思う。
知り合いのある女性は(わしの知合いだからソートーお年を召してます)、「男前が着る服のことでしょ」とおっしゃった。
察するところ、語音が近い「ランサム」と「ハンサム」を混同し、「ウェア」を「スキーウェア/ビーチウェア」などからの連想で「衣類」とお思いになったのであろう。イキな解釈だ。
男前かどうかは拝観不能ないので判定できないが、頭はソートーに良さそうだ。でなければこんな邪悪にして非道なことは考え出すまい。
実をいうと、「ランサムウェア」はコンピューター・ウイルスの一種である。
「トロイの木馬」などに乗ってパソコンに乗り込んできて、保存されているデータをロックしたり暗号化したりして使えなくする。
そうしておいて、使えるように復元したければ○○円払え、と金を要求する。
「ランサム(Ransom)」というのは「人質に取ること/身代金」という意味の英語で、「トロイの木馬」は、「有益なソフトウェアに見せかけて、コンピューター内のデータ消去・改竄・流出などの破壊活動を行うプログラムのこと」(goo辞書)である。
ほとんどの企業や事業所は、今やコンピューターなくしては仕事が成り立たないから、これをやられると喉元に匕首を突きつけられたも同然になる。
資金のある大企業は、背に腹は代えられないので歯ぎしりしながらも金を用意するかもしれないが、中小企業などで身代金を払えない所では、口を塞がれて息ができなくなるのと同様の困難・危機に直面する。
つい先ごろ(2021.年10月末)も、徳島県のとある町立病院がこのランサムウェアに乗り込まれ、息を塞がれて悲鳴を上げているという。
患者の電子カルテが閲覧不能になり、加えて医療事務関係の会計システムがダウンした。
病院のような医療機関ではストレートに人の命にかかわる。治療を必要としている患者の命が人質にとられるからだ。
対応に時間をかけているヒマがない。つまり身代金が取りやすい。
2019年に、米アラバマ州の病院がこのウイルス攻撃を受けて、医療機器が麻痺した。その結果、新生児が脳に重い損傷を受けて亡くなるという事故が発生している。
徳島県の町立病院のばあいも、犯人はそういう医療機関のウィークポイントを狙って、濡れ手で粟の攻撃を仕掛けている。卑劣にして非情という以外にない。
こういう現代の冷酷な手が伸びるのは、金のある大企業とか、病院のような弱みを抱えている医療機関だけに限らない。
最近は個人にまで手を伸ばしてくる。それも平凡に暮らしている一般人にまで・・・。
想像や推察で言っているのではない。
じつは何をかくそう数ヵ月ほど前、わしの所にまで実際にその汚れた指を伸ばしてきたのである。
そのわしの体験を次回に述べる。
当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。