もつれる、足も心も

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 私は満80歳の誕生日から、このブログを始めました。
 何を血迷ったか最初のうちは “毎日更新” でした。
 が、日を経ずして、それは老犬に馬車を引かせるようなものだと気づき、原則 “週2回” の更新に改めました。
 そしてほぼ4年半。老犬はさらに老い、お読みいただいてお気づきのように、いまや足腰が弱ってヨタヨタ歩きです。
 きっぱり辞めることも考えましたが、一度始めたことに自ら白旗を掲げるのもシャクです。せめて “週1回(原則)” の更新にしてでも、もう少し歩いてみることにしました。
 この未練がましい歩きがどこまで続くか、どこでいよいよ足や腰が立たなくなってクタバルか、面白半分に見物していただければ幸いです。
                   2022年1月7日

よろける、足も心も

 イケメンが出てくる韓流ドラマのファンは、中高年の女性が圧倒的に多いという。

 ことほどさように、女性はイケメンがお好きらしい。イケメンに弱い、と言い換えてもよい。

 わしの経験からいえば、その芽は小学生の頃からすでに現われている。センダンハフタバヨリ・・・ってわけね。カンバシイかどうかはいちおう保留にしておいて、子供のころのわしの体験のなかにある、小さな芽の実例を紹介する。
 
 思い出したののにはきっかけがある。つい先日のことだ。
 道を歩いていると、少し先にある交差点の信号が青に変わった。
 わしは思わず走り出した。
 そこは車の交通量の多い交差点で、信号が赤になると、次の青までけっこう長く待たされる。
 そのとき先を急いでいて、いまの青いうちに渡ってしまいたかった。
 
 ところが情けなや途中で足がもつれた。
 上半身が泳いだ。
 頭が走れと命令を出しても、足の筋肉がついていかなかったのだ。
 ま、かろうじて倒れないですみ、なんとか信号を渡り終えてホッとしたけれど。

 体は老いてすでにその能力を失っているのに、かつては出来ていた行動を反射的にやろうとする。
 頭と体に生じているギャップを瞬間的に忘れるのだ。それが事故を生む。高齢者の要注意事項の一つだろう。 
 
 ・・・などということを考えながら先へ向かっていると、ふと、むかしのとある光景が鮮やかに甦った。70年余も忘れていて、その間いちども思い出したことはなかったのに・・・。
 
 小学校6年になった春だった。
 新しい先生が別の学校から移ってきて、わしらのクラスの担任になった。
 男の先生で、30歳を1つ2つ出たくらい。すらりとした長身で、顔もなかなかのイケメンだ。当時はイケメンと言わないで、ハンサムと言ったけどね。
 
 クラスの女の子たちがなんとなく色めき立つのが、そばから見ていてわかった。そのイケメン先生がまだ独身だったことも関係があったらしい。小学生でさえそんなこと(独身か否か)が問題になるのか。そのへんの微妙なオトメ心はわしには不案内デスけど・・・。

 とにかく、クラスの女の子たちの新担任に対するそうした反応は、なんとなく面白くなかった。内心ひそかに好きだった女の子まで、その先生のこととなるとどこか浮かれた様子を見せるのが、気にくわなかった。
 
 さて、その出来事が起きたのは、秋の運動会でのことである。
 
 運動会でよく行われる競技に、借り物競走というのがあるよね。
 そのバリエーションだろう、出走者各自がくじで引き当てた課題にふさわしい人を連れて、いっしょに走るというゲームがその運動会で行われた。頭の禿げている人とか、お腹のでっぱっている人、ゲジゲジ眉の人とかを連れ出して手をつないでゴールをめざす。
 
 お題が何であったか忘れたが、例のイケメン担任先生がひとりの女の子に引っぱり出された。その子は特に成長の早い大柄な子で、しかも足も速かったのが先生には不運だった。最初は長い脚を生かして連れの子を引っぱるくらいだったが、30~40メートルほど走った辺りでとつぜん足がもつれた。爪先が上がらず、めくれた甲で地面を引っ掻くような形になって、激しく前へつんのめって転倒した。
 
 会場に悲鳴のような声が上がった。倒れ方がそれほど激しかった。
 先生はそのまましばらく動けない。
 まさに潰れた蛙みたいな感じで地面に這いつくばった姿は、どこから見ても不様という以外になかった。

 おそらくこの先生は、社会人になってからほとんど一度も思いっきり走ったことがなかったのだろう。
 
 正直に言うが、そのときわしは、内心どこかでかすかな快感のようなものを感じた。
 人の災難を見てよろこぶなんて、人間としてじつに品のわるい感情だけれど、溜飲を下げるという場面は生きていればちょくちょくないことはない。
 
 小学生の高学年あたりは、男の子より女の子のほうが成長が早いといわれる。
 でも男の子も、このわしの例からみるように、この歳になればそろそろ異性間の嫉妬めいたものが動くらしい。
 
 わしが特殊だとは思わない。
 嫉妬の感情は人間の基本的なサガである。
 80代半ばになった今でさえ、わしもときに嫉妬めいた感情が蠢くことがある。異性間の話じゃないけどサ。

 ナントカは死ななきゃ直らない・・・ってヤツの一つかねぇ、これも。
 

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当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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