カラスなぜ鳴くの
昨年、都市近郊の人口の多い住宅地から、隣県の端っこに引っ越してきて、両地の違いに気づいたことがいくつかある。
2月15日の記事『手前味噌は美味くない』に書いた「道」もそのひとつだが、もうひとつ意外なものの違いに気づいた。
カラスである。
カラスは前に住んでいた町でもお馴染みだった。
お馴染み・・・といってもべつに懇意だったわけではない。向こうさんが勝手に朝早くから喪服姿でやってきて、ゴミ収集車が去る頃までガーガーうるさく鳴きながら飛びまわるので、いやでも目につく。顔を合わせる機会も多い。見て楽しい顔ではないし、まあ本心はお馴染みになどなりたくない招かれざる客だ。
〽カラスなぜ鳴くの カラスは山に・・・
お馴染み・・・といってもべつに懇意だったわけではない。向こうさんが勝手に朝早くから喪服姿でやってきて、ゴミ収集車が去る頃までガーガーうるさく鳴きながら飛びまわるので、いやでも目につく。顔を合わせる機会も多い。見て楽しい顔ではないし、まあ本心はお馴染みになどなりたくない招かれざる客だ。
〽カラスなぜ鳴くの カラスは山に・・・
子どものころに歌ったあの童謡のイメージは、現代の町中のカラスにはみじんもない。どちらかというと、図々しく悪賢い置引き・・・つまり悪党のイメージだ。
今の住まいは海辺にあるのだが山も多い。人口も少ない。はっきりいって田舎町だ。
今の住まいは海辺にあるのだが山も多い。人口も少ない。はっきりいって田舎町だ。
だからそこに棲むカラスも、多少はむかしの「カラスなぜ鳴くの・・・」に近いかと思ったらさにあらず、やっぱり朝早くから家のすぐ近くまでやってきて、うるさく鳴き交わす。態度もデカい。
ときにはベランダの物干し竿に止まって、室内を覗きこむようなことまでやる。とんでもない連中だ。中を覗いたって、何かオモシロイことやっているわけじゃない。爺さんと婆さんが居眠りしているだけなのに。
連中は残飯の置引きや住居の覗き見だけでなく、もちろん空も飛ぶ。いちおう鳥デスからね。
で、その飛び方が、町中のカラスと少し違うことに気づいたのである。
で、その飛び方が、町中のカラスと少し違うことに気づいたのである。
ふつうカラスが空を飛ぶときは、翼を上下に動かす。つまり羽ばたく。
ところがこの地のカラスは、もちろん羽ばたきはするが、ときおりその羽ばたきを止めて、翼を横にひろげたまま飛ぶ。つまりグライダーみたいに滑空する。全部がぜんぶじゃないが、そういう飛び方をするカラスが中にいる。
そんなカラスをわしはこれまで見たことがなかった。子供のころに見た山の中のカラスも、長く住んだ都市郊外のカラスも、そういう飛行をするカラスの姿は記憶にない。
最初わしは思った。人間の国民性が国によって違うように、カラスにも種族とか部族みたいなのがあって、それぞれに習性が違うのだろうかと。
そんな話をカミさんにすると、彼女はごく当たり前のようにさらりと言った。
「トンビじゃないの」
「いやトンビの話じゃない、カラスの話をしてるんだけど」
わけが分からない顔をしたわしに、カミさんはこんなことを言った。
ところがこの地のカラスは、もちろん羽ばたきはするが、ときおりその羽ばたきを止めて、翼を横にひろげたまま飛ぶ。つまりグライダーみたいに滑空する。全部がぜんぶじゃないが、そういう飛び方をするカラスが中にいる。
そんなカラスをわしはこれまで見たことがなかった。子供のころに見た山の中のカラスも、長く住んだ都市郊外のカラスも、そういう飛行をするカラスの姿は記憶にない。
最初わしは思った。人間の国民性が国によって違うように、カラスにも種族とか部族みたいなのがあって、それぞれに習性が違うのだろうかと。
そんな話をカミさんにすると、彼女はごく当たり前のようにさらりと言った。
「トンビじゃないの」
「いやトンビの話じゃない、カラスの話をしてるんだけど」
わけが分からない顔をしたわしに、カミさんはこんなことを言った。
当地は海辺にあるせいかトンビも棲息している。空を見上げれば、いつも高い所にトンビが数羽、ときによると数十羽がゆったりと輪を描いている。翼を動かさないいわゆる滑空飛行だ。
当地のカラスは、このトンビを見習ったのではないか・・・とカミさんは言うのだ。カラスは真似のうまい鳥でしょ、と。
「学ぶ」は「まねぶ」から来ているとよく聞く。ここのカラスは遊び半分で近くを飛んでいるトンビの真似をしてみたら、えらくラクであることに気づいた。これはいい。省エネになる。これでいけるときは、これでいこう。そう学んで “トンビ式飛翔法” を適宜利用しているのではないか、と。
な~るほど、ありえないことじゃないかも・・・。
な~るほど、ありえないことじゃないかも・・・。
人間は環境の動物である、という言葉もちょくちょく耳にする。が、それって人間だけでじゃないんじゃないの? ・・・というのがカミさんの発見だろうか。これをもし「発見」というならね。
もうひとつ気がついたことがある。
カラスはトンビの飛び方は真似しても、鳴き方は真似しないということだ。
なぜだろう、と考えてみた。どうでもいいことだけど、どうせヒマだからね。
もうひとつ気がついたことがある。
カラスはトンビの飛び方は真似しても、鳴き方は真似しないということだ。
なぜだろう、と考えてみた。どうでもいいことだけど、どうせヒマだからね。
で、分かった。それはカラスが、おのれの声質がトンビの鳴き方とは相性がよくない、ということを知っているからだ。
・・・というのは、カラスに確かめたわけではないので間違っているかもしれない。だが次の理由は間違っていないと思う。
・・・というのは、カラスに確かめたわけではないので間違っているかもしれない。だが次の理由は間違っていないと思う。
カラスがピーヒョロロ・・・と鳴いたところで、カラスに何のメリットもないからだ。もちろん省エネにならないし、逆にテメーの声が下品なことを目立たせて、イメージを悪くするかもしれない。
日本の政治家どうよう、見かけのイメージが大事で、生産性のないことはカラスも評価しないのだろう。
・・・ということは、日本の政治家はカラスと同レベルだってこと?
もっともわしは、カラスのやるピーヒョロロ・・・を、1度は聞いてみたい気がしてマス。
(本記事でふれた『手前味噌は美味くない』はこちらから)
もっともわしは、カラスのやるピーヒョロロ・・・を、1度は聞いてみたい気がしてマス。
(本記事でふれた『手前味噌は美味くない』はこちらから)
お知らせ
当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。
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