食器洗いにも魂をこめろ!・・・って?

流し

 前回の記事のなかで、夕食後の食器洗いはわしがやると書いたが、今回はその部分をちょっとクローズアップしてみる。

 実をいうと、食後の食器洗いを担当したのは、今回が初めてじゃない。
 10年ほど前にも、流しの洗いモノ一切をわが一手に引き受けたことがあった。

 一切をわが一手に・・・なんて書くと、なにやら勇ましげでカッコいいが、実際となるとそれほどカッコよくはない。それが現実というものの常だけどね。

 その現実というのを具体的に書くとこんなぐあいだ。
 ふと目をやると、カミさんがわしの洗った皿を洗い直している。
 見とがめると、ちゃんと洗えてないからだという。

 トーゼンわしはあんまりユカイではない。
 わが全存在を否定された・・・とまでは言わんが、当方としては一応ちゃんと洗ったつもりなのだ。
 そう言うと、ほら、これを見て・・・と水切りラックの中から、わしが洗いおえた皿の1枚を取り出して見せた。
「このお皿のここんところ、ちゃんと洗えてないでしょ」
 指さされたところを見ると、たしかに汚れは完ぺきには落ちていない。わずかだが食べものの一部が残ってこびりついている。別の皿では油が完全に落ちていないで、指先で触るとぬるぬるする。
 
 こうして目の前に証拠を突きつけられたら、ふつうは目を伏せて白旗を上げるのだが、素直に自分の非を認めるほどわしはできた人間ではない。
「ちゃんと洗ったつもりなんだけどなぁ・・・」
 などと、皿に残った油みたいにグズグズ言って、カミさんの感情の油に火をつける。
「つもりじゃダメなの。ちゃんと洗えてなきゃあ」
 そんな風に言われると、たちまち火の粉はこっちの方まで飛んできちゃう。
「それが、そんな大声を出して言うほどのことか!? 現になんの問題も起きてないだろ? 腹イタも腹クダシも、起きてないだろ?」
「イタイとかクダルとかの問題じゃないの」
「じゃ、なんの問題なのよ?」
「フケツじゃないの。洗ったお皿に食べカスが残っているなんて」
「フケツ?・・・って、自分たちが食べたモノの残りだよ」
「それ、へ理屈!」
「理屈にヘもフもあるもんか」

 ・・・なんて、第三者が傍にいたらアキレて蹴とばしたくなるだろう。とても70年、80年も生きてきた人間が口にしてるとは思えない。

 ・・・というような保育園児レベルのもめごとがあって、わしはやる気を失い、カミさんは自分でやったほうが早い・・・となって、なしくずし的に洗い方奉行からわしは手を引いたのだった。

 それでいて何年かするとまた同じことをやり始めているのだから、われながらナニやってんだか分からない。
 
 ま、これは、わしら夫婦の人間レベルの問題であるってことはよく知っておりマスよ、はい。

 しかしねぇ、人間が生きているっていうのは、ぶっちゃけ、その一瞬一瞬をスライスして顕微鏡の下において見ると、こういうバカバカしいことをやってることが多いんじゃないスかねぇ。
 
 あ、ごめん。一般化しちゃまずいッス。
 これ、あくまでわしら夫婦の問題デス。

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