オンライン・ダベリング(2)

オンライン・ダベリング

 コロナ様のお通りで、世の中は変わった。
 影響は老人たちにも及ぶ。
 腰と足をふらつかせながら、鼻をふくらませて世の尻馬に挑び乗ろうとした老人たちの話を、前回に書いた。今回はその尻ウマ話の続きである。(前回はこちら

 有り余るヒマ対策のひとつとして、趣味を同じくする老人連中がときどき集まる。
 生涯学習センターの貸出し施設(貸し室)を借りて、月1回 年寄りが寄り合う。
 
 寄り合って何をするかというと、メンバーは男女混成だが、別にイチャイチャするわけではない。そんなエネルギーはない。
 いや、そうかな。
 共通する趣味を手にして、他のメンバーの作品をオーバーにほめたり、そのお返しをしたりするから、口でイチャイチャしていると言えなくもない。・・・かも。
 
 ま、どのみち、それで中学生のSNSみたいに誰かを傷つけるわけじゃないし、年金が減るわけでもないからいいんだけどね。
 
 で、その、古びた袋の中のしわくちゃの洗濯物みたいな集まりも、コロナのせいでできなくなった。生涯学習センターが部屋の貸出しを中止したからだ。よたよたしてても密は密だからって・・・。(ま、そりゃそうだけど)

 で、やむを得ずわしらの寄り合いも、一人前に “一時休会” ってことになった。が、やはりさびしい。毎日1回は渋茶で饅頭をつまんでいたのに、急にカミさんから「健康のため今日から甘いものはやめます」と言われて、口がさびしいのと同じ。
 
 そんなとき前回に書いたように(前回はこちらネ)、ネットを使ってサッソーと仕事をしている若い連中の姿を見せつけられた。
 で、ムリしてよろよろ腰を上げたやつがいた。

「わしらもやろうじゃないの、オンライン寄り合い・・・」
「おお、やろうやろう。・・・でもオンラインって、インターネットを使うんだろ?」
「当たりめえだ。ネズミ捕りネットを使うんじゃないの」
「俺、苦手なんだけど、そっちの方」
「あっちの方は得意だけどな」
 みたいなバカなことを言い合って、結局、息子がIT関係の会社を経営しているメンバーのひとりがやり方を勉強して、始めることにした。
 
 ・・・というわけで、
「息子にだいぶ貸し作っちゃったよ」
 などと、ホスト役のメンバーに恩着せがましく言われながら始めた「第1回オンライン寄り合い」は、実をいうと、まるで寄り合わなかった。

 最初は話題のアプリ「Zoom」を使ってやったのだが、ぜんぜんズームしないの。・・・というかメンバーの大半が、顔も声もつながらない。
 
 仕方ないので各自がガラケーを持ち出して、連絡を取り合いながら、ああだこうだとやったのだが、ラチがあかない。

 オンライン・ミーティングをやろうってのに、ケータイを使ってるなんて、オレたちいったい何をやってんだろう、とため息をついていると、突然、肝腎のZoomさんの動作が断りもなく停止してしまった。

 ホストのメンバーが慌てて息子に電話を入れて聞いたら、「Zoom」の無料版は時間制限付きなのだそうだ。1回につき40分しか使えないという。

 最初から段取りをやり直せばまた40分使えるらしいのだが、ホスト役も他のメンバーもすでにけっこう疲れていて、続けてやる気力がない。若い時のように「抜かず〇発」みたいなコトはできないのだ。
 
 そもそも、コレ(この記事)を書いてるわし自身も疲れてきた。
 結局どういう結果になったのかは次回で・・・ということにしマス。
 
 それにしても「抜かず〇発」なんて懐かしいフレーズだなあ。
 そんな時代があったなんて・・・。
 ああ、過去は夢だ。

 

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当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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