怒られたほうがいい?
友人から、YouTubeでいま人気のある出し物を薦められた。
『モモウメ』というアニメである。
机を並べて働いているOLの話がメイン。
モモとウメが主な登場人物だ。
若手らしいモモが主役で、その相手役が同僚のウメ。ウメはひと回りくらい年が上のようだ。(別の内容のものも混じるけど)
このアニメをわしに紹介した友人は、孫から教えられたらしいのだが、たしかに面白い。
1編の長さがだいたい2分から3分くらい。短い。
テンポの速いセリフのやりとりに乗せて、話はいっきに進行する。
話の内容は、意外に鋭いリアリティを放っている。・・・ていうかまるで機関銃なみの連射。
そのなかの、たまたま最近見た1編がわが浅慮を撃った。
舞台はどこにでもありそうな会社のオフィス。
職場を見回すと、ざっくり分けて2種類の同僚がいる。・・・とモモはいう。
上司にしょっちゅう怒られている同僚と、怒られることが比較的少ない同僚、あるいはまったく怒られない同僚。
どこが違うかというと、・・・どうもよく分からない。
仕事ぶりだってそう大きな差があるようには思えない。
結局、”ウマが合う合わない” という人間関係の不条理につき当たる。・・・としか言いようがない。
話はさらに進む。
ふつうなら怒られない方がいいに決まっている。誰だって、できることならウマの合う上司に恵まれて、ガミガミ言われずに平穏に日々の仕事をこなしたいと思う。
ところがモモはそれに疑問を呈する。
本当は、上司に怒られない部下よりも、よく怒られる部下のほうが幸せではないか、と。
「えッ、その人、M系のひと?」
・・・なんて、すぐ、ソレ式の単純発想をするわしは反省させられた。
モモはいう。
よく怒られる部下は、当然、自分はなぜこんなに怒られるのだろう、何が悪いのか、どこに問題があるのか・・・と自分を振り返ってみるだろう。
つまり上司に怒られたことで自分の欠点を反省し、その原因を求め、改善するにはどうすればいいかと考える。自己啓発の道へつながる。可愛い子には旅をさせろ。
ところが逆にあまり怒られない部下は、つい気がゆるみ、仕事への構えが甘くなる。すべてとは言わないが、人間はブロックされないとそうなりやすい傾向がある。
「可愛い子には旅」の流れでいえば、「コタツに入ってミカンを口に放りこみながら、鼻くそほじくっている」。
もっと悪くすれば、オレ、けっこうヤレる口じゃないの、と自分の実体を見誤る。思い上がって、やがて自分で掘った穴に堕ちる。
まじめに仕事をして、それなりに昇進や責任ある地位に就きたいと思っている会社人間なら、どちらがより良い職場環境かおのずから明らかであろう。
もっとも以上に書いたことは、小学生の優等生がまとめたレポートレベルだ。現実の実態は、そんなカルピス・ソーダみたいに、小ざっぱりと単純なものではないにちがいない。
例えば、上司に怒られることが多い部下は、ウン悪く上司の妻(上司が女性の場合は夫)に顔が似ていた・・・ということだってありうる。
あるいは、たまたま八つ当たりに適した性格をしている・・・といった場合だってあるだろう。いわば適所適材。
そういったケースでは、上司の叱責を自己反省の材料にしようとしても、「角を矯めて牛を殺す」結果になる可能性がある。長所といっていい部分までいじってしまい、状況をより悪くする。
・・・なんてことを考えるのは、まあ、わしみたいにひねくれた人間だけだろうなア~。
当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。