年をとってから引っ越しをするとこうなる(4)

老人の引っ越し

 頭が禿げ、腰が曲がってから引っ越しをすると、こうなる・・・ということを書いている。(これまでの経緯はこちらから →
 
 ところで老人の引っ越し作業において、いちばん大きな障害となるものは何だと思う?
 そりゃ何てたって、老い衰えた筋肉、つまり肉体じゃないの?
 ・・・と思うかもしれない。しごく真っ当な推察だネ。ふだんは持つことのないような重いモノ・・・おのれの人生のクソみたいなガラクタを詰めこんだダンボール箱を、くり返し上げたり下げたり移動させたりしなければならないからね。枯れた手足の筋肉や関節には負荷が大きすぎる。
 
 たしかにその問題は無視できない。作業が進むにつれて肥大する足腰の痛みは、作業の負担感を増し、厭世的な気分にさえなる。ヘタをするとポキンと折れる。
 
 だが、最大の障害は筋肉の衰えではない。
 
 ”物忘れ” である。いわば脳の衰え。

 引っ越しに限らず物忘れは老人の強敵だが、引っ越し作業においては特に、高齢者につきものの “短期性健忘症” が猛威をふるう。
 
 たとえば、1,2分前に使ったばかりのカッターが無くなる。ガムテープも紐もハサミもマーカーもメジャーもふいに姿を消す。引っ越し作業には欠かせないこれらの小道具連中に、こうもしょっちゅう姿をくらまされては仕事にならない。

 といって連中たちにしても、悪質な看守に耐えかねた囚人みたいに、ドン臭さい使い手にイヤ気がさして遁走したわけではない。近くに潜んでいることはいるのだ。ただどこにいるのかが分からない。ま、ありていに言えば、使い手が前回使ったあと、どこに置いたか忘れるのだ。

 で、ムダな時間をかけてあっちこっちを引っ掻きまわし、「あ、あった!」とか「なんだ、こんなとこに置いあるじゃないか!」みたいなアホみたいなことをくり返す。

 毎回こんなことをやっていると、時間ばかり食って少しもコトが運ばないし、疲れる。失せモノ探し・・・というのはけっこう疲労するのだ。肉体的にというより精神的に・・・。
 老人には天敵の肉体労働の上に、この精神的疲労が乗っかると、早い話ゼツボー的な気分になる。やってられないよ、こんなこと、もう!・・・と。
 でも投げるわけにはいかない。家の中はすでに足の踏み場もない荒地になっている。
 
 困ったもんだ。クリニックに駆け込んで注射や薬で症状を緩和することができればいいのだけど、進歩いちじるしい現代医学とはいえ、年齢を巻き戻す技術はまだ手に入れていない。
 
 その上に引っ越し老人を苦しめるものがある。地方行政府である。
 近ごろはどの自治体でも、ゴミを出すには分別して出すことを住民に課している。さらにゴミの種類によってゴミ出しの日が異なる。
 これらのゴミ分別ルールは、自治体によっては複雑怪奇にしか見えないものもある。老人の目にはね。

 しかし、この “煩雑妖怪” について語るには、今はちょいとエネルギーが足りない。集中力もない。
 なにしろわしらは今、ここに書いているような引っ越しを “生放送” でやっている最中じゃからね。日々の疲労がハンパじゃないの。
 続きは次回にまわすことにする。許してね。(次回はこちら

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当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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