年をとってから引っ越しをするとこうなる(5)

 前回は、いまの日本ではほとんどの地方自治体が、ゴミ出し時にゴミの分別をすることを住民に課していて、そのゴミ出しルールが老人にとっちゃ複雑怪奇な妖怪のようだ・・・と書きかけたところでエネルギーがコト切れた。
 で、ひと晩寝てなんとかエネルギーを取り戻し、今回はその続きである。
             (これまでの経緯はこちらから →
 
 この世には、”引っ越しが趣味” とか “引っ越しマニア” だとかと称する奇特なひとがいる。わしにはまるで、”ヘビを首に巻いて寝るのが好き” だと言ってるのに等しく聞こえる。
 それはともかく、そういう “へビ枕人” ならよくご存じだろう。ゴミ収集の分別ルールは地方自治体によってビミョーに違う、ということを。
 
 昔は(だいぶ昔だね)ゴミ出しといえばゴミ出しだった。つまり腐る生モノも、半永久的に腐らない合成樹脂類も、中のよい兄弟みたいにいっしょに収集日に出していた。・・・ような気がするんだよね、半ボケ老人の記憶のなかでは。
 ゴミ焼却炉が、いまみたいに全国的に普及していない頃だったのだろう。

 そのうち「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」に分けて出すようになった。さらに燃えないゴミで再利用できるものは、「資源ゴミ」と称して別扱いするようになった。その資源ゴミも、リサイクル方法によって分別する。それがまたやたら細かいの。
 
 わしらがこんかい関わることになった2つの自治体(引っ越し先と引っ越し元)のうちの1つを例に挙げてみる。
 この自治体では、ある曜日にたとえばプラスチックごみを出すのだが、「容器包装プラスチック」とそれ以外の「プラスチックごみ」とに分けて出し、出す日が異なる。

 「容器包装プラ」のほうは、出すまえに洗って汚れを落としておく。自治体が配布している「ごみの出し方」冊子には、「洗剤は使う必要はありません」と親切な説明が添えてある。

 カップ麺やプリンなどの容器では、フタがプラスチックで、容器本体は紙製のものがあるので、その場合は別々に分けて出す。もちろん出す曜日もちがう。まちがえてはいけない。

 同じ容器でも、スーパーなどで使われる “白色トレイ” は、この分類(容器包装プラ)のなかに入れてはいけない。別の分類になる。
 
 ややこしいのは、白色トレイと同じ材質・目的でスーパーなどで使われるトレイに、白ではなく色のついたものがある。刺身や弁当仕立てのものなどを入れる黒や赤や木目調のトレイだ。これらは「白色トレイ」と同じ日に出してはいけない。これまた白色トレイとは別の分類になる。
 さらに言えば、牛乳を入れる容器は「紙パック」と称して、これまた別扱いだ。
 わしのような半ボケ老人は、容器のゴミ出しだけで目がまわる。

 容器ひとつとっても、分別はこれだけ煩雑だ。
 もちろんプラスチック容器だけの話ではない。他の分類においても同様の煩雑なルールがある。
 
 しかも、住んでいる市や町によって、分別の仕方が細かいところで違う。たとえばA市では、金属類は他の燃えないゴミといっしょに「燃えないゴミ袋」に一括して入れて出すが、B市では「調理用金属」と「その他の金属」に分け、袋に入れずに裸のままそれぞれ所定の入れ物(コンテナ)のなかに入れる。

 さらに出す曜日が市や町によってちがう。例えばA市はプラスチックごみを水曜日に収集するが、B市は第2と第3金曜日に収集する。・・・といったぐあい。
 今回のわしらのように、引っ越し元と引っ越し先の両方でゴミ出しをしなければならない老民には、これらが七変化の妖怪に見える。

「おい、そのダンボール、どこへ持っていくんだ?」
「もちろんゴミ収集所よ」
「こっちのダンボールの収集日は、今日じゃないよ。今日なのはあっち」
「え、そうだった? じゃ、こっちはいつ?」
 あわててA市とB市の「ゴミの出し方」冊子を突き合わせて、同時にわしらのシラガ頭も突き合わせてチェックする騒ぎになる。その前に、老眼鏡も探さなければならないしね。
 しかし、家の中は引っ越し作業中でまさにゴミ捨て場同然になっている。問題の冊子や老眼鏡はどこかに隠れていてすぐには出てこない。ゴミの中を這いずり回る仕儀になる。
 
 ・・・と、まあ、以上に述べたようなギャグ漫画みたいなことが(それだって実際の一部だけど)次々と老いた頭を津波のように襲うわけだ。対応できるわけがない。水面いっぱいに浮かんだゴミのまにまに漂うスイカみたいに、ただ波に揺られて右往左往するばかりである。

 これを読んだベテランの主婦は言われるかもしれない。ゴミの分別など、わたしらふだんからチャッチャッっとやってるわよ、と。
 
 そうかもしれない。しかしそれはその方がわしらとは違う分類に属する人間だからだ。つまり、わしらのような “筋肉と頭がしなびた人”類と同じ日には分別されない人間なのだ。
 
 わしらのように、ゴミ焼却炉より遺体焼却炉に運ばれたほうが似合う人間は、とにかくゴミの分別は苦手だ。それだけははっきりしている。

 しかし、それは当然かもしれない。ゴミ焼却炉も火葬場も実態は同じようなもので、分別が難しいからね。
 ま、語るに落ちたわけデスな。

 それにしても・・・とわしはここんところ、お役所の環境問題担当者はがいしてクイズマニアが多いのではないか・・・ってつい想像したくなる。わざわざ回答者を困らせるような難しい難問を考え出して、イッヒッヒッとひそかに喜びを感じている人間・・・みたいなお役人が多いのではないか。

 ・・・というの冗談デス。ほんとうは地球を汚さないために、けんめいに頭を絞っておられることはよく知っています。ハイ。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ・・・とまあこんなぐあいに、当ブログはここ何回かに亘って、老人が引っ越しする状況をグダグダと書いているので、読まれている方はいい加減ウンザリされてるんのじゃないかな。
 ・・・ていうか、書いている(←実際に引っ越し作業をやっている)わし自身もウンザリ・・・を通り越してゲンナリ・・・も通り越してボンヤリしている。何しろ体も頭も疲労コンパイして働かないのよ。働かない半ボケ頭・・・なんてんじゃロクな文章は書けない。

 で、しばらくはこのブログもお休みをいただくことにした。
 それに実は、家の引っ越しにともないインターネット回線も引っ越しをするので、何日間かは回線が使えなくなる。回線を取り上げられたインターネットなんて、金棒と取りあげられた鬼にも劣る。いうなら心臓を抜き取られた青鬼。
 
 まあ1ヵ月ほどお休みを戴ければ、再開できると思う。神の加護があり過労死していなければだけど。
 そのときにまた再会できればチョーうれしい。
 ・・・といった風に、この期に及んでまで若者ことばを使ってよろこんでいるようじゃ、まあ、まだしばらくはクタバラナイだろうナ。
 じゃ、しばらくのあいだ、サイナラ、サイナラ。
   

        お知らせ
当ブログは週2回の更新(月曜と金曜)を原則にしております。いつなんどきすってんコロリンと転んで、あの世へ引っ越しすることになるかもわかりませんけど、ま、それまではね。

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年をとってから引っ越しをするとこうなる(5)” に対して 5 件のコメントがあります

  1. はごろも より:

    楽しく 拝見させていただいております。
     (他人事)だから~~なんて 思っていませんのよ。
    すべて アルアルの感ばかり。
     ゆっくり ボツボツ (せかず焦らず)で お仕事なさってください。

    1月でモ 2月でモ 無事お元気での更新をお待ちしております。
    ・・・本当は 今の実況放送??が 楽しいですけど・・ネ。

    1. Hanboke-jiji より:

      はごろも様
      ゆっくり ボツボツ (せかず焦らず)・・・でやれればいいんですけどねぇ。
      引っ越しの日が決まっているので、それまでに何とかゴミ出しを終えなきゃあ、
      と気が気じゃありません。お尻に火がついて走りまわっている青鬼なんて、
      あんまり気のきいた図じゃありませんねぇ。
      引越しは終わったはいいけど、その翌日に過労死・・・なんてことになるかも。
      そのときは羽衣の舞いまって見送ってください。(半ボケじじィ)

  2. はごろも より:

    楽しく 拝見させていただいております。
     (他人事)だから~~なんて 思っていませんのよ。
    すべて アルアルの感ばかり。
     ゆっくり ボツボツ (せかず焦らず)で お仕事なさってください。

    1月でモ 2月でモ 無事お元気での更新をお待ちしております。
    ・・・本当は 今の実況放送??が 楽しいですけど・・ネ。

  3. むらさき より:

    ホントによくもまあこれほど入ってたわね~と感心するほど、荷物があるんですよね~
    んで、懐かしい物に気を取られて時間をつぶす(笑)
    80歳にならなくても、引っ越しあるあるですわよ~(笑)
    新居での更新、まってま~っす♪

    1. Hanboke-jiji より:

      懐かしい物に気を取られて時間をつぶす・・・なんてことができるのは、
      むらさきさんにはまだまだ余裕がある証拠です。
      つまり若いってこと。
      80歳あたりになると、懐かしんで見返すのも面倒くさくなります。
      そのうち分かりますよ。お楽しみにお待ちください。(半ボケじじィ)

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